アウトサイダー・ロマンス

一条くんがカーナビに免許証に記載されている住所を打ち込む。
要町付近の新しいワンルームマンションだった。

「何考えているのよ、全く。愉快犯?」
「それは羽沢組の方でゆっくり調べてくれるだろう」

タカシの言葉にボールギャグを嵌めた男が唸る。可哀想にヤクザに売られる男たち。五体満足でまた立てる日は来るのだろうか。彼らの将来はあまり考えないようにした。まあ自業自得だよね。普通に生きていれば拘束されてトランクに詰め込まれ運搬されることもなかったのに。
ワンボックスカーのトランクに転がされている可哀想な男たちをちらりと覗いたあと、隣に座るタカシの顔を見た。ぱちんと目が合う。しかし気まずくなって視線を逸らした。
あの準備不足さだと、どのタイミングであいつにGボーイズのスパイだとバレるか分からなかった。家で2人きりの時にバレていたら殺されたかもしれない。

「・・・ありがと、引き止めてくれて」
「服濡らして悪かったな。咄嗟にあれしか出来なかった」

静かに首を振った。敵わないな、結局役に立てないのがやっぱり少し悔しかった。
すると一条くんがミラー越しに視線を投げかけてきた。

「もうまもなく着きます。男たち、どうしますか」
「そのまま積んでお前たち面倒見ておけ、おれはクイーンと部屋を見てくる」

そしてさっきミチヒロから取り上げた鍵を片手にタカシがそう言って窓の外を見た。つられて外を見るとついにポツポツと雨が落ちてきていてコンクリートに暗い水玉模様を描いている。あたりはすっかり夜だった。
そして車がマンションの前に滑り込む。じゃあ、あとよろしく。そう声をかけると入口に向かって二人で駆け出した。


/
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -