アウトサイダー・ロマンス

不思議な不思議な池袋、東が西武で西東武。心の中で口ずさむ。ちなみにここは西口なので東武だ。駅ビルの中の女子トイレの化粧室の鏡の前に立つ。鏡の中にいるのはいかにも気の強そうな顔のわたし。この顔は自分では気に入っているのだけど、どうも男ウケが悪い。
バッグからウエットティッシュタイプの化粧落としを取り出すと一旦全ての化粧を落としてからまたナチュラルメイクに直した。するとそこにはいかにも気弱そうな女の子。纏めていた髪の毛も下ろす。派手なビジューがついたヒールを脱いでシンプルなパンプスに履き替えた。これで手頃な女の子の出来上がり。
駅前のロッカーに靴と大きな化粧道具を押し込んでスマートフォンを抜いた。
起動するのはGoogleマップ。先程タツヤくんから聞いたバーの店名を打ち込む。ここから徒歩数分。
潜入捜査をするつもりだった。軽い気持ちで。マコトやタカシにバレたらひとりで危険なことをするなとたぶん小言を言われる。でも日本にある普通のバーだよ。そんな簡単に危険なんて落ちているわけがない。なんてタツヤくんと同じミスをわたしは堂々と犯すのだった。


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