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それからおれたちは4人で昔話と軽い作戦会議を織り交ぜながらのんだ。
アサヒが最近のお気に入りなのだと連呼するコカボムを何杯かのまされて回らなくなった舌でおれは言う。

「それで、Bクロウズのことをできる限り教えてくれよ」

アサヒもアサヒで、疲れた身体に毒々しい緑と黄色の液体が入ったショットグラスをまた一気に煽って少しとろんとした顔でおれを見た。
涼しい顔でウイスキーのロックを飲むタカシにもこのくらい隙があればかわいいのにな。しかしその心を読んだのか、タカシは冷めた目で睨む。おお、こわい。おかげで酔いが少し覚めてしまった。
そんな中アサヒはその冷えた空気に気づかないのかやや呂律の回っていない口調で言う。

「この3日間ネットと街を駆けずり回ったけどなにもわからなかった。半年前くらいかな、誰かがやりはじめて瞬く間に広がった。誰かとはつるみたいけどキングの下に着くのは嫌だってどうしようもない跳ねっ返りの子たちがね」
「ふーん、モデルもないのに人は集まるものなんだ」
「京一さんのところに集まるような子たちとはまた毛色が違うから」

ひとくくりにヤンキーといっても十人十色ってことだ。
タカシの持つ純粋な強さに惹かれるやつ、京一の持つ美しい踊りとカリスマ性に惹かれるやつ、そのどちらも拒もうとするやつ。
おれは立ち上がった。すこしくらりときた。久しぶりにこんなに飲んでしまった。少し酔いすぎたくらいだ。
それでもおれは酔っていませんと言った顔をつくって、並んで座るキングとクイーンに話しかけた。

「わかったよ、おれなりに少し進めてみる。なにかあったら電話でもLINEでも」
「グループLINEつくろうよ」

そしてそう言ったおれにアサヒがスマートフォンを出しながら答えた。
タカシと京一もそれぞれのポケットからスマートフォンを取り出した。それに倣うとすぐにグループ招待のポップが出る。

「あの夏はこんな日が来るなんて想像もしなかった。おれ達が仲良く飲んでこんなガラスの板で繋がるなんてさ」

しみじみと言う京一にタカシは低く返事をした。
それから2人に送り出されて、おれと京一はクラブを出ていった。


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