工業高校の怪談

「お前はそんな格好で幽霊騒動を巻き起こしてからここに侵入して盗みを働いていた、そうだな」
「そうだ」
「猫殺しもお前か」
「ああ、幽霊騒動ごときじゃ動じない生徒が邪魔だった、実害があれば校内に残る余計な生徒はさらに減るかなって」

馬乗りのまま淡々と会話するタケルさんの姿は到底18歳に見えなかった。おれたちもあと2年もしたら本当にあんな風に立派な大人になれるんだろうか。それとも背負っているものが違うから、ガキのままなんだろうか。
そして脅えて震える先生にタケルさんはにっこりと笑いかけて近くまでアサヒを招いた。

「そうだ、ここは彼女に裁いてもらおうか。お前が迷惑かけたのは彼女たち女子生徒が主だしな。どう、アサヒさん」
「えっ、わたしはそんな、安藤先輩みたいなこと・・・」
「やりすぎだと思ったら止めるから、やってみて」

アサヒが助けを求めるようにこちらも見たが、タケルさんが任せると言ってるんだからアサヒの裁量を信じて大丈夫だろうと頷いた。彼女の白い喉が生唾を飲み込んだのかごくんと上下して、タケルさんの傍にしゃがみこんで冷静を無理やり装ったような声で喋り始めた。

「先生、わたしたちの下着盗んでなにしてたの。売った?使った?」
「・・・売った、おれはガキには興味無い」
「なんて言い草、身体に会うかわいい下着見つけるのだって大変なのにさ。ねえ先生、選んで。このまま警察に突き出されて懲戒免職?それかわたしたちに慰謝料払って、自主退職か。先生の自供は録音してあるし、これからその痴態も撮影するから逃げようだなんて思わないで」

タケルさんが感心したような顔で頷いた。思いのほか上手くやってるじゃん。タカシもじっとアサヒのことを見つめて話を聞いている。
金よりプライドを取ったやつは、言われただけの慰謝料を払うと約束した。タケルさんも納得してATMに向かわせるために乱暴に先生を立たせた。
これでよかったのかななんて眉を八の字にしているアサヒにタカシが話しかける。

「慰謝料、どう使うの」
「まずは被害にあった女の子たちに分配して被害の補填、余ったお金はみんなでぱーっと焼肉でも食べに行こうよ。どうせあいつ捕まっても被害額帰ってこなかっただろうしさ、お金の方帰ってきてよかったかもしれない。わたしたちの前からいなくなるなら自主退職も逮捕も変わんないでしょ」

それもそうだなと頷いて、おれはタケルさんと先生にくっついて銀行までついて行った。


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