魚が食べたいなあ。そう思い海へ行き船の準備をしているとスナフキンに出会い、乗せてくれないかと声をかけられた。
ムーミンパパに作ってもらったこの船は2人で乗ってもまだまだ十分に余裕のある立派な船なのでもちろんいいわと頷く。
「それじゃあレディ、先に乗りなよ。押してあげるから」
「ありがとう」
そしてお昼ご飯と釣りの道具を積み終えるとわたしは船に乗り組み、スナフキンはブーツを脱ぎ船に投げ入れると砂浜に乗り上げさせていたボートを沖へ向かって押してくれた。そのままある程度深い所までくるとスナフキンはひょいとボートに飛び乗ってきたのでわたしはオールで漕ぎ始める。
「うーん、今日はどこで釣ろうかな」
「水浴び小屋の少し沖はどうかな」
「いいわ、行ってみましょう」
どうせ確実に釣れる場所なんてないのだ。当たるも八卦当たらぬも八卦、もとい、当たるも釣り当たらぬも釣りだ。



今日は当たらない日だった。
お昼前もお昼あともスナフキンとわたしの釣り糸はぴくりとも動かず。今日の夕飯は野菜のスープとライ麦パンだけで我慢するべきかと覚悟を決めつつあった。スナフキンもとっくに諦めているようで釣り竿をほったらかしにして帽子を顔にかぶせ昼寝をしていた。
これ以上ここにいても仕方ないから帰ろうと撤収のため釣り竿に手をかけたその時だった。
釣り糸の先の浮きが沈んだ。
「ああっ!引いたわ!」
突然のことに釣り竿を掴んで叫んでしまった。スナフキンは飛び起きて帽子を被り顔して海を覗き込む。
「がんばれレディ!これは大きいぞ!」
「お、重い!助けてスナフキン!」
思わず海に引き込まれそうになる。スナフキンは慌てて横に来ると釣り竿を掴んで引き上げるのを手伝ってくれた。
「あぁー、もう無理!」
「レディ、もう少しの辛抱だ。それっ」
しかし2人でも一本釣りは無理だと判断したスナフキンが素早くタモを掴んで海に身を乗り出すと魚の方に突っ込んだ。
「捕まえたぞ、せーのっ」
そしてそのまま渾身の力で引き上げると2人して船に尻もちをついた。大きく揺れる船。しかし目の前にはタモに入った1匹のマグロがあった。マグロの一本釣り!近年稀に見る素晴らしい成果だ。
「ああ!どうしましょう、食べきれないわ」
「ムーミンママのところに持っていこうか」
どうやって食べるのか到底思いつかなかったがママならきっと美味しくしてくれるだろう。
いいお土産が出来た、この大きさだったらスニフやミイも呼べるだろう。
スナフキンの答えに満面の笑みで頷くと、ふたりでうきうきと岸に向かって船を漕ぎ出した。



(ムーミンの箱庭アプリでマグロが釣れるけどフィンランドってマグロ捕れるのかな???まあいいかフィンランドというかムーミン谷だし(?)

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