簡単ないかだをつくって湖に浮かべた。5人がぎりぎり乗れる小さないかだだったが乗り心地はなかなか快適な気がする。
それに旅慣れたスナフキンの操船は上手く、すーっと鏡のような水面を静かに進んだ。のどかな雰囲気の中ムーミンが呟いた。

「こんなところに湖があるなんて」

しかしそののどかな雰囲気を壊すいつもの男。

「はぁ・・・はぁ・・・ダメ・・・揺らさないで・・・揺らすとゲロが出ちゃう・・・」
「スニフ、りんご剥いたけど食べる?」
「レディ・・・いま食べ物の話はしないでおくれ・・・」
「泣かないの!レディ、りんごちょーだい。私がスニフの分も食べるわ」

スニフ、どうしてこの全く揺れていない船の上で酔うのだろう。
いかだの上で切り分けたりんごをスニフ以外の全員でつまんでおやつにした。
そしてりんごがなくなる頃にスナフキンがスニフを励ますように言った。

「もう少しの我慢だ。スニフ、おさびし山はもう目の前だよ」

しかし目の前は霧だけだ。その気持ちを代弁するようにムーミンがスナフキンに尋ねる。

「本当に近いの?全然見えないよ」
「ああ、この雲さえなければ目の前に見えるはずだよ」

そう言われて目を凝らせば、かすかに大きな山の麓が見えた気がした。

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