はっきりとした赤色のワンピースはその女の子にとてもよく似合っていた。
遠くに見えたその色に、わたしは思わず駆け出してしまった。
「ニンニーっ!」
驚いた顔のニンニが見える。その勢いのまま抱きつくと彼女はくすぐったそうに笑った。すっかり元気みたいだ。鈴の音のような軽やかな笑い声だけがそこにあり、小さな銀の鈴の音色は聞こえてこなかった。
「久しぶり、会いたかったわ。おばさんにいじめられていない?」
「レディ!わたしが言い返すようになったらすっかり嫌味を言わなくなったの、だから大丈夫。それでみんなにお礼を言いたくて・・・」
とても優しい女の子はムーミンママのおかげでひねくれることなく優しく芯の強い女の子になっていた。
安心してハグをやめると今度はニンニの手をとると彼女が歩いていこうとした道の先を指さした。
「じゃあトゥーティッキのところへ行ってからムーミン屋敷へ行くのね。家まで競争しましょう」
彼女が頷くとムーミンママお手製の黄色のリボンが揺れた。
きっとニンニの足は前に遊んだ時よりもっと早くなっているに違いない。はっきりとした声で彼女は負けないわと言って笑う。
将来はママのように強くて優しい大きな女性になるのだろう。その声を聞いてそう思い、安堵のままニンニの小さな手をいま1度強く握った。

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