散歩をしているとたくさんの白詰草が咲いてるのに出会った。
やることがなかったのでそこに座り込んでまずはひとつ摘む。そしてもうひとつ。束ねてみて、ねじって、手慰みに花を編む。
「レディ」
そこへとことことミイが駆けてきた。
「なーにやってるの」
「暇潰しよ」
小さな花冠が出来たのでミイにかぶせて上げる。彼女は喜んで跳ね上がった。
「わたし綺麗?」
「とっても」
彼女と髪と服の赤色に真っ白な花がよく映えていた。
とても小柄でかわいらしい彼女があの大人びたスナフキンの腹違いの姉には到底見えない。
「もうひとつ編んでよ」
「いいよ、どこにつけるの?」
「ミムラ姉ちゃんにあげるの」
彼女にはスナフキン以外にも姉や妹や弟たちがうんとたくさんいる。たくさんの子どもたちを育てているミムラ夫人には脱帽だ。
「いいね、ミムラは元気?」
そんなミムラ夫人の(わたしの知る限り)長女ミムラはミイと一緒に親元を離れムーミン谷に暮らしている。
そういえば最近ミムラに会っていないな。器量がよくやさしい彼女の柔らかな微笑みを思い返しながら手元の白詰草を手折る。
「元気すぎて鬱陶しいくらいよ」
ミイはそばに寝転びながらそう返した。手伝う気はないようで手元の花で遊んでいる。
鬱陶しいだなんて言いながらもプレゼントをあげようだなんて面白い。思わず笑うとミイは何笑ってるのよと少し不服そうに言った。
別に、と返すと彼女はそれ以上追求してこない。ふふふ。
かわいい彼女が早く大好きなお姉さんにプレゼントを送れるように、先ほどよりうんと丁寧に、素早く花冠を作るのに専念することにした。

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