スカートはたっぷりと布を使ってふわふわにするべし。
床に広げた布から必要なパーツを切り取っていく。ふんわりとした袖、カフス、前身頃と後身頃にスカート。ついでにと別の布からドロワーズになるパーツを切り取る。そして近所の人に譲ってもらった古いミシンに糸をセットして縫い始めた。
背中にたくさんのボタンを縫い付けて、完成。それをばさりと広げ、ふと外を見ると辺りはオレンジに染まっていた。
いけない、もう夕暮れ。朝から始めて昼も忘れて没頭していた。
慌てて古い服を脱ぎ捨てて新しいそれに袖を通した。手早くボタンを止めて鏡の前で一回転。ママのようにはいかないが前よりはなかなかいいと思った。
そしてムーミン屋敷へのお土産とママから借りた本を持つと慌てて家を飛び出した。



「おお、完成したのかね」

ムーミン屋敷を訪れると迎えてくれたパパは新しい服を見てにこにこと笑いながら褒めてくれた。
完成したら一番に見せに来てくれとパパとママたちに言われたのだ。
だから先日会った時に今日のお呼ばれに間に合うように作ると約束した。

「お招きありがとうございました、おかげさまで完成しました」

パパと話していると2階からムーミンとミイが降りてきて近くにやってくる。

「いらっしゃい、レディ」
「あら、それが新しい服?」

ミイがくるりとわたしの周りを一周する。そしてまあまあね、と彼女にとって最高の褒め言葉をくれた。

「さあみんな、ダイニングに行こう。ママがもうたくさんの料理を作ってくれているよ」

そして私たち3人はパパに背中を押されてダイニングへと向かっていった。



「まあー、レディとっても素敵よ」

ダイニングで待っててくれたムーミンママはにこにこといつもの暖かさで迎えてくれた。

「ママの本のおかげだわ、ありがとう」
「いいえ、 いいのよ。レディに似合う服があってよかったわ」

差し出した本を受け取ったママがにこにことして私の服を見る。

「そうだ、あとでレースとリボンをあげるわね。あなたならきっと素敵に使ってくれるでしょう」
「ありがとうママ!だいすき!」

思わず駆け寄ってハグをするとママはあらあらと微笑んで背中を優しくぽんぽんと叩いてくれた。

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