人間になりたかった吸血鬼
2012/02/20 07:35


吸血鬼の男主のお話。吸血鬼は人間から隠れるように生きてきたため不自由な生活がほとんどで男主は自由に生きる人間に憧れていた。そんな男主は偶然街で出会った謙也と互いに一目惚れ。二人は晴れて両想いになるんだけど謙也は吸血鬼を狩るヴァンパイアハンターで男主が吸血鬼だと知りつつも狩れない。もちろん侑士もハンターだから男主を殺そうとする。武器は二人とも銀の弾丸が入った拳銃。治癒力の高い吸血鬼といえど心臓をやられれば即死。侑士やほかのハンターは謙也に殺せって圧力をかけて、男主も謙也の素性を知ると殺せって家族から言われる。苦悩する二人が書きたい。ちなみに立海の幸村も吸血鬼で男主とも知り合い。大の人間嫌いという設定。







ああどないしよ。血が止まらへん。いくら治癒力の高い吸血鬼といえど、ああ何発も銀の弾丸で打たれたら間に合わへん。傷口をぎゅうっと手で押さえる。


「け、ん、や………。」
「喋るんやない!血が、傷が開いてまうから!」
「ごめん、ごめ……、」
「なんで謝るねん。なあ、傷治ったら俺らのこと誰も知らへん遠い場所に行こう。二人で暮らすんや。金なら大丈夫やで、俺んちこうみえて金持ちやから。だから、」


涙が頬を伝う。微笑むように目を閉じた彼は、死んだ?あれ、おかしいな。なんでや。傷治らへん。なんで、なんで。


「湊………!」


立海の幸村くんが横たわっている湊の胸に顔を埋めた。幸村くんも泣いてるのやろか。客観的にしか物事を判断できん。胸にぽっかり穴が空いたみたいや。


「謙也。」


侑士の声が頭上から響いた。ゆっくり顔を上げる。なんともいえへんような顔をしている侑士に俺は胸に黒くもやもやしたものが広がった。気持ち悪い。


「お前が、殺したんや。」


カチャ、と銀の弾丸が入った拳銃を侑士に向ける。ひゅ、と誰かが息を飲む音がした。


「お前が、お前が、ころした。返せや、俺の大事な、湊を返せや。」


ゆっくりと引き金を引いた。






侑士が男主くんに撃った瞬間でした。謙也は男主を寵愛していたらいいな、という話。

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