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「…ユウナが、たしかにそう言ったんだな?」


木ノ葉に戻り、ナルトとサクラとともに報告をする。
イタチが死んだこと、二人を連れ戻せなかったこと。その後にユウナが俺に言ったことを伝えると、その言葉が返ってきた。


「はい。たしかに言いました」
「俺も聞こえたってばよ。ユウナの姉ちゃん、すげぇ苦しそうだった」
「…泣き叫んでました。木ノ葉が大切だって、守りたいって」
「…そうか」


俺たちがそう言うと、綱手様は少しばかり嬉しそうに安心したように口元を緩ませた。


「それから、ユウナに里抜けした理由を知っていると伝えました。まさか俺が知っているとは思わなかったのか、驚いてましたよ」
「…そうだろうなぁ。心優しいあいつのことだ。きっと誰にも言えずひとりで苦しんでいたに違いない」
「…えぇ」
「…綱手のばあちゃん」
「なんだ、ナルト」
「…ユウナの姉ちゃんが、木ノ葉のために里抜けしたってのは本当なのか?」


ナルトがいつになく神妙な面持ちで綱手様に問う。
綱手様も眉を寄せてため息をつきながら小さく頷く。


「…正確には、木ノ葉とあたしのためだ」
「…ばあちゃんのため?」
「…あぁ。ユウナは暁に脅されているんだ。優秀な医療忍者として奴らの目に止まったんだろう。少しでも怪しい動きをすれば木ノ葉を潰し師を殺す、とな。そう言われたユウナは里抜けせざるを得なかった、というわけだ」


そう言った綱手様に、ナルトだけでなくサクラも苦しそうに顔をしかめた。

きっと今二人の頭の中にはそれぞれの師の顔が浮かんでいるんだろう。
師を殺されるか、自分が苦しむ方を取るか。苦渋の選択だろうが、この二人なら迷わず自分が苦しむ方を取るだろう。俺だってミナト先生を殺さない代わりに里抜けしろと言われたらそうしただろうから。


「…なんで、俺に相談してくんなかったのかな」
「そうなればお前は絶対引き止めるでしょ。行くなって」
「当たり前だってばよ!ユウナの姉ちゃんは俺を認めてくれて友達だって言ってくれた大切な人だ!引き止めねぇわけねぇ!」
「だから言えなかったんだろ。引き止められたら覚悟が揺らぐから」
「…っ」


唇を噛んで床を睨みつけるナルトの肩に綱手様が手を置いた。


「そう力むな、ナルト。大丈夫、ユウナは帰ってくる」
「…うん」
「お前がそんな顔してたらますますユウナが心配するぞ?心配しすぎて泣くかもしれんなぁ」


あえて冗談めかしてそう言う綱手様に、ナルトは困ったように笑った。


「…そうだな。ごめん、綱手のばあちゃん。俺ってば信じてる、ユウナの姉ちゃんのこと。絶対帰ってくるもんな!」
「当たり前でしょ。私もユウナさんに教えてもらいたいことがいっぱいあるしね」
「あぁ、必ず帰ってくるよ」


口々にそう言う俺たちに綱手様は安心したように笑った。
そんな綱手様の前にナルトは一歩踏み出し凛々しい顔で告げる。


「綱手のばあちゃん」
「…」
「サスケのこともユウナの姉ちゃんのことも、俺ってば絶対ぇ諦めねぇ。二人とも絶対ぇ連れて帰っから、ばあちゃん、二人が戻った時のこと…頼む」
「…あぁ、任せろ」


深く頭を下げるナルトに、綱手様はその成長を喜ぶように頬を綻ばせた。
かくいう俺も、立派になったナルトの姿により心強くなった。



けれど僕らは前を向く




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