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カカシたちと再会してしばらく経った。
もう会いたいなんて思ってる自分が情けない。

この前から、ペインに言われて飛段と角都と行動を共にしている。角都は暁の財布役。二尾を狩ったと思えば今度はなんでも賞金首を狩りに行くらしい。
ただただぼーっとそのあとをついて行く。火の国に入って火の寺の僧、地陸を担いで換金所に向かう。

この地陸って人は元守護忍十二士の一人らしい。
そういえばアスマもこの人とおんなじ腰布してたなぁなんてぼんやり考える。じゃあアスマも賞金首なのかな。それもそうか。アスマ強いもんなぁ。


「飛段、ユウナ。木ノ葉へ行くぞ」
「はぁ?なんで木ノ葉だよ。人柱力はどうすんだ?」
「それは後だ。次の獲物はこいつだ」


そう言って角都が取り出したのはビンゴブック。
嫌な予感が全身を駆け巡る。


「こいつが三千五百万両だと?詐欺だろこれ」
「こいつも元守護忍十二士。立場を考えれば相応の金額だろう」


アスマを狩るって?
…させるか、そんなこと。


「そういえばユウナ、お前の故郷は木ノ葉だったな。こいつとは知り合いなのか?」
「…答える義理はない」
「ケッ!相変わらず面白味もねぇ女だぜまったくよォ」


ちぇっ、と舌打ちをする飛段を睨みつける。
私の仲間は絶対殺させない。

ひとまず地陸って人を連れて赴いた換金所。
私は入る必要もないから表で待っていた。出て来た飛段が臭い臭いうるさいからまた睨みつける。
そこに現れた懐かしい気配。


「…ユウナ」
「…アスマ、」


三年ぶりに見る大切な仲間。私が裏切った、仲間。


「…ユウナ、お前」
「…」
「……生きてたんだな、よかった」
「!」


ほっ、としたように息をつくアスマに目を見開いた。

なんで、なんで木ノ葉の人たちはこんなに私を心配してくれるの。わかんない。私は裏切ったんだよ。犯罪者なんだよ。
でも、それでも心のどこかでそれを喜んでいる自分が、恨めしい。


「噂をすれば次の獲物じゃねぇか。角都のやつうっせーからここで俺様がいっちょやるか。お前は下がってろ」
「…」


ギラギラとした目でアスマを見る飛段に怒りを覚えながらも今は怪しい行動を取れないからいう通りにする。

ごめん、アスマ。
こいつ不死身だから気をつけて。なんかあったら絶対助けるから。痛いかもしんないけど辛抱してね。

そう思いながら換金所の屋上に飛ぶ。
そこには髪をひとつに結った少年が待ち構えていた。


「あんたがユウナって人か」
「…」
「俺は奈良シカマルってんだ。アスマから話は聞いてる。カカシ先生やアスマ、木ノ葉の多くの人があんたを連れ戻そうと必死になってるのもな」
「!」


まだ諦めてなかったんだカカシのやつ。
この前あんな酷いこと言ったのに。いっそのこと嫌いになってくれたほうがどんなに楽か。それに、みんなも…。


「あんたは俺たちについて来てもらう。五代目からもユウナってやつを見つけたら、何もせず拘束しろってきつく言われてるからな」
「…っ」
「つーわけで、あんたにはここでおとなしくしててもらうぜ」


綱手様まで…。
なんで放っておいてくれないの。みんな私のことなんて忘れて里のために頑張ってくれればそれでいいのに。


「…シカマルって言ったね、あんた」
「!…あぁ」
「あんたたちに忠告。あいつ…飛段は不死身、厄介な術を使うから傷ひとつつけられたら終わり。あの鎌には気をつけな」
「!?」


真っ直ぐ私を見つけて不敵に笑うシカマルって子に火の意志を感じた。
何が何でも大切なものを守り抜く心、それを思い出させられた。

気づけばこの子に飛段のことを忠告してた。
奈良っていったらシカクさんの息子だろう。それなら、これだけ言えばどうにか打開策を見つけてくれるはずだという希望も込めて。

シカマルにそれだけ言うと、戦闘に加わる気もなかった私はその場所から少し離れた。


角都も換金所から出て来て本格的な戦闘が始まった。




もしも願えるならば




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