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「ユウナ!!」
俺たちに背を向けて歩き出したユウナにいくら声をかけても振り向かない。
三年ぶりに見たユウナは少し痩せてたけど、でも変わってなかった。
俺やナルトがいくら声をかけても戻っては来なかった。ただサクラが綱手様の話をした時ぴくっと肩が動いた。そしてサクラに綱手様への伝言を伝えたときの声が震えていた。
ただの勘だけど、あいつは何か理由があって里を出たんじゃないかと思った。そうじゃないとあんな悲しそうな、嬉しそうな顔をするはずがない。木ノ葉を頼むなんて言うはずがない。そう思ったから。
「カカシ先生」
「…なんだ?」
「ユウナの姉ちゃん、なんか隠してる気がする」
「!」
「俺ってばそんな気がすんだ。じゃねぇと、あんな寂しそうな顔するはずねぇってばよ」
真っ直ぐユウナが去って言った方向を見て苦しそうに呟くナルト。
まったくお前ってやつは。そういうときだけ勘がいいんだから参るよ。
「…俺も今そう思ってたところだよ」
「んなら、さっさとこんな奴らぶっ飛ばして我愛羅助けて、ユウナの姉ちゃん連れて帰るってばよ」
「あぁ」
「ユウナの姉ちゃんは独りじゃねぇって俺が教えてやんねぇとな!」
そう言ってにっ、と笑うナルトに肩の力が抜けた気がした。
ありがとうナルト。お前のおかげでちょっと救われた気がするよ。
「カカシ先生」
「どうした?サクラ」
「ユウナさんって、どうしてあんなに師匠に似てるんでしょうね」
「…」
「強情っぱりなところなんてそのまま。それに不器用で、自分のことより人のことを真っ先に考えてしまうそんなところもそっくり」
「…サクラ、」
「だからこそ、何がなんでもユウナさんを綱手様のところへ連れて帰りますからね」
「…あぁ」
ありがとう、二人とも。
立派に成長したよ、お前たちは。
ユウナ。
お前のことをこんなにも想ってくれてる奴らがいるんだよ。それでも帰らないなんて言える?
俺たちの目を見て、そう言える?
ユウナの影を追い求めて心の中で呟く。
ユウナ。
必ず木ノ葉へ連れて帰るから、それまで待ってて。絶対、生きててくれよ。前にも言っただろ。
そう願いながら敵忍にかかった。
おまえは独りじゃない