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「始めるぞ」


リーダーのそんな声とともに珍しくメンバーが全員集まっていた。
なんでも三日三晩かけて人柱力から尾獣を取り出してこのでっかい石像に封印するらしい。

今日命を落とすことになるデイダラとサソリが連れて来たこの人柱力は、砂隠れの風影で一尾の人柱力の我愛羅。そういえばこの子、ナルトたちと同い年なんだよなぁ。

人柱力から尾獣を抜くってことはつまり、いずれナルトもそうなるってこと?
いや、そんなことにはならない。ナルトはそんなに弱くないから。私がさせないって言いたいけど、それは無理な話だと思ってしまう自分が無力で情けない。

封印に関して私はすることがないから時間が過ぎるのをぼーっと待つ。
そんなときに無意識に考えてしまうのは相変わらず木ノ葉のことで。里抜けして3年も経つっていうのに未だに忘れられないほど私は木ノ葉が好きだ。


みんな、元気にやってるかな。ちゃんとやってるかな。
そういえば綱手様が五代目火影になったんだっけ。それなら木ノ葉も安心だ。私が里を抜けたってことももう知ってるんだろうな。呆れたかな。もう3年以上会ってないなぁ。会いたいなぁ。元気かな。まぁ会えるわけもないんだけど。

なんて思うとやっぱり寂しくなる自分がいて。
ふらりと立ち上がって外へと足を進めると「どこへ行く」というペインに散歩とだけ告げて外へ出て大きく空気を吸った。

あそこは空気が淀んでてやだ。どんどん気が滅入る。


「…みんな、」


大きな空に向かってぽつりと呟く。
こうしているとなんだか自分のしてることがちっぽけに感じるくらい。

里抜けまでしたけど私なんかで守れてるんだろうかとか。みんなに迷惑かけてまでしてよかったことなのかとか。そんなマイナスな思いばっかり浮かんで私らしくない。


「…私は元気でやってるよ」


もうみんな私のことなんて忘れて幸せに暮らしてるんだろうなぁ。
それでいい。みんなが幸せならそれで。

自分で捨てたはずの遠い遠い故郷に未だ想いを馳せている自分は、やっぱり弱いらしい。




そっちの空はどうですか




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