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「風影、我愛羅が暁に攫われた」


ナルトが自来也様との修行から2年半ぶりに帰ってきて、逞しくなったその姿に親のような目線になっているときにかかった五代目火影・綱手様からの召集。
ナルト、サクラとともに執務室に赴くと同時に耳にした綱手様の言葉を受けて隣に目をやると、今にも飛び出しそうなナルトがいた。


「砂からの応援要請だ。友好国でもある砂の風影が攫われたとあっては木ノ葉としても黙ってはおれん。だが、くれぐれも無茶はするなよ。それに我愛羅を攫ったのは暁。…ユウナのことも何か掴めるかもしれん。頼んだぞ」


苦しそうに眉を寄せる綱手様に、空気がピリッとした気がした。

ユウナが里を出てもうすぐ三年。
あのあとすぐ綱手様が五代目になって、ユウナのことも俺から伝えた。信じられないといった表情の綱手様が俺の胸ぐらを掴んで怒鳴ったことも今や懐かしい。俺は淡々と事実だと告げ、必ず連れ帰ると約束した。
里のためにも綱手様のためにも、そして俺のためにも。


「ナルト、サクラ。用意が出来次第あうんの門に集合だ」
「はい!」
「おう!」
「カカシ、お前は少し残れ」


二人に指示と出したところで綱手様が俺を呼び止めた。
二人が出て行ったのを確認したところで綱手様が切り出す。



「…カカシ。ユウナのことだが、」
「わかってます。俺が引っ張ってでも連れて帰ります」
「…暁は並大抵のレベルじゃない。それはお前もわかっていることだろうが、」
「…えぇ。ですがユウナは木ノ葉の仲間です。何が何でも連れて帰ってきます。綱手様はあいつが帰ってきたときのことを頼みます」


「失礼します」
そう言って頭を下げて執務室を出れば重いため息が漏れる。
あぁやって啖呵切っちゃったけど、事実を言えばここ3年のあいつの足取りが追えてない。
暁に入ったってことはわかってる。…でも、それだけだ。

やっぱり俺は無力だと思った。だけどそんなぐらいで諦められるほど簡単な気持ちじゃない。
絶対、何が何でも連れ帰る。あいつを木ノ葉に、連れて帰る。


「…カカシさん」


自分への決意表明としてぐっと拳を握りしめていると後ろからかかった声に振り向けばシズネがいた。おおよそユウナのことを言いに来たんだろう。


「…ユウナさんのことなんですが、」
「あぁ、わかってる。綱手様も心配で仕方ないんだろう。ここは俺に任せて」
「…よろしくお願いします」


深く頭を下げるシズネに「あぁ」と微笑んであうんの門へと急いだ。




待ち焦がれたその時が




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