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「…三代目」


中忍試験本戦の途中に起こった木ノ葉崩し。
木ノ葉の抜け忍で、綱手様と同じ三忍である大蛇丸が起こしたこの事件。

会場でナルトとサスケの勇姿を見守っていたら突然かかった大規模な幻術。すぐさま幻術返しをして周辺を見回すと辺り一面敵だらけ。カカシとガイと一緒に応戦したものの三代目が人質に取られた。結界の中で閉じ込められた三代目は、大蛇丸の腕を封印する代償として命を落とした。


「…三代目様らしい、立派な最期だ」


三代目の周りに集まった忍の誰かのそんな言葉が耳に入った。
あの偉大な火影をそんな言葉で片付けてしまうその人に、密かに拳を握り締めた。

あっという間にこの事件で殉職した三代目を含む忍たちの葬儀が終わり、復旧作業に追われる木ノ葉の里。火影の顔岩の上から無残にも崩れ去った里を見渡す。


「…三代目」


“期待しておるぞ、ユウナ。わしと共に木ノ葉を守ってくれ”

いつか、そう言って優しい顔で笑った三代目。
私は守れなかった。里も、三代目も。大切なものを守れるだけ強くなるとそう誓ったはずなのに。

情けない。なにが上忍だ。これじゃ里を出たあの頃となにも変わってないじゃないか。肝心なときに何もできないなんてそんなことで木ノ葉の忍を名乗っていいはずがない。


「こんなところにいたんだ」


後ろから聞こえたそんな声。
振り向かなくても誰かわかる。


「…」
「どうしたのよ、一体」
「…カカシ、私、」


「また守れなかった」
そう言おうとした瞬間、全身を温かさが包んだ。カカシに抱きしめられてるんだと気付くのにそう時間はかからなかった。


「自分を追い込むな。卑下するな。お前は精一杯やったよ」
「…でもっ」
「俺だって同じだ。俺だって三代目のことを守れなかった」
「…三代目は、私に、一緒に木ノ葉を守ってくれって言ったの。期待してるって。なのに、なのに私は…っ」


葬儀のときには出なかった涙がとめどなく溢れてくる。

思い出すのはいろんな三代目の顔で。
里のことを話すときの憂いを帯びた顔や、いたずらをした子供みたいな顔、優しい顔や、くしゃっと笑ったしわだらけの顔。いろんな三代目の顔が頭の中を巡って、それを守れなかった自分の不甲斐なさに涙が止まらない。


「…会いたいよ」
「…」
「…三代目に、会いたいよ…っ」


カカシの胸に顔を埋めて声を押し殺して泣いた。
そんな私の背中をカカシは優しくさすってくれた。昔のように、“お前は独りじゃない”そう言ってくれてる気がした。



再びのことば




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