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三代目の葬儀の後、ユウナの姿が見当たらなかった。
里中を探して顔岩の上から里を見渡すユウナの背中を見つけた。

それが今にも儚く消えてしまいそうで気づいたら抱きしめていた。

ユウナにとって三代目は大師匠にあたる方。
里に帰ってきたときあったかく迎え入れてくれたと、いつかユウナが嬉しそうに話していたのを思い出した。


「ユウナ」
「…」
「火の意志って知ってる?」
「…火の、意志?」


しゃくりあげるように泣くユウナの背中を優しく叩きながらそう言葉を紡ぐ。


「初代様の時代から伝えられてきた言葉みたいなんだけどね。木ノ葉の忍にはそれぞれに想いがあるのはユウナも知ってるよね?」
「…うん」
「里を守りたいとか、大切な人を守りたいとかいろんな想いがひとりひとりの心の中にある。それを火の意志っていうんだ」
「…うん」
「そういうのは、教え子とか弟子とか、そういう人たちに託されてくもんなんだよね」
「…」
「だから三代目の火の意志は、ちゃんとユウナの中にあるんだよ」
「!」
「姿は見えなくても、もう会えなくてもユウナの中に三代目はちゃんといる。あの方の火の意志はお前の中にもちゃんとある」
「…うんっ」
「だからもう泣くな」


お前がまた前を見て歩けるように、地に足つけて進めるように。
その背中を押してやるのが俺の役目だと思うから。


「…カカシ」
「ん?」
「ありがとう」


真っ赤に腫らした目で俺を見上げてにっ、と笑ったユウナ。
そんなにすぐには受け入れられないかもしれないけど、きっとユウナなら大丈夫。そう願いながらまた強く抱きしめた。



受け継がれゆく意志




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