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「「乾杯!」」


と景気よくジョッキをぶつけ合いぐびっとビールを流し込む。
試験の後カカシに誘われて入った居酒屋。実戦の後のビールがこれまた格別。ああ、なんてうまいんだ。こんなにうまい酒は久しぶりだ。


「クゥー!たまらん!」
「お前、うまそうに飲むね」
「ま、綱手様に付き合って飲む酒は味しなかったからねぇ。こんなに味わって飲めるのは久しぶりだから」
「…なるほど」


そりゃ顔も引きつるわな。あの人の酒癖知ってる人ならなおさら。
なんて思いながら串カツを口に放り込む。ビールに串カツ。最高かよ。


「ところでお前、やっぱ強くなってたねぇ」
「だから言ったっしょ。伊達に里離れてたわけじゃないって」
「そりゃそうだけど。あの怪力にあの威力の火遁はずるいよ、正直」
「何がよ?あ、お姉さん生ビール追加でー!」
「…俺さ、今まで何回か上忍試験の相手やってきたけど、写輪眼出したの初めてなんだよね」


マジかよこいつ。じゃ、今まで本気じゃなかったと。
びっくりしてカカシを見ると、ポリポリと頬を掻きながら苦笑いしてる。…マジかよ。


「…ま、本気じゃなかったのかって聞かれたらそうだけど。それ以前に俺を前にしたらみんな縮みあがっちゃってさ。試験どころじゃなかったんだよね」
「まぁ、あの有名なコピー忍者のカカシ様だからねぇ。そりゃ緊張もするでしょ」
「…なにそれ。嫌味?」
「はは」
「ま、今まではそんなんだったからさ。正直嬉しいわけよ」
「なんで?」
「だってお前がそれだけ強くなったってことでしょ。力もそうだけど心も。それが誇らしいっていうか」
「…ふーん」


カカシがそんな風に思ってくれるなんて意外。なんかこっぱずかしいな。
なんて思いながらきたばかりの二杯目のビールを流し込む。うん、やっぱりうまい。


「あ、そうだ。あのさ、お前が里を出るときにした約束、覚えてる?」
「…忘れるわけないじゃん」


十年経ったからって決して忘れられなかった約束。いや、忘れられるわけがなかった。
「強くなって、そんで俺のところに帰ってきて」そう言って送り出してくれたカカシ。あの約束を胸に私は里を出た。絶対強くなって、胸を張ってカカシの元へ帰るために。


「あの約束のおかげでわたしは十年も頑張れたっていうか。ま、あんたのおかげってやつ?」
「相変わらず素直じゃないねぇ。はっきりありがとうって言えばいいのに」
「…うるさい」
「でさ、強くなって俺のところに帰ってきてって言ったよね?」
「うん」
「…その意味、わかる?」
「…」


…どうしよう。さっぱりわかんない。強くなって帰ってこればいいと思ってたけど。なんか違う意味でもあったの?なんて必死に頭をかき回していると、おもむろにジョッキを置いて真剣な顔をするカカシにつられて私もジョッキを置いた。


「…あのさ、俺、ずっとユウナのことが…」
「お!?ユウナじゃねぇか!」
「久しぶりね!」
「…もしかして、アスマ!?それに紅!?」


カカシを遮って聞こえた声に入口を見れば、いつかより老けておっさんになったアスマといつかよりずっと大人っぽくなった紅がいた。


「ホント久しぶりだねふたりとも!元気だった?」
「おう。まぁ変わらずだな」
「そりゃあよかった」
「よければ一緒にいいかしら?」
「もちろん!どうぞどうぞ!」


懐かしい同期との再会。
私はカカシとほぼ同時に飛び級したから年はふたりの方が少し上だけど、いっつも可愛がってくれたそんなふたり。

二人が席に着くと同時にカカシを見るとなぜか頭を抱えて項垂れてる。


「カカシ?どうした?」
「…もしかすると俺ら、邪魔しちまった感じか?」
「…もしかしなくてもそうでしょ」
「あら、まだ言ってなかったの。あんたって意外にヘタレだったのね」
「…うるさいよ」


三人の会話がちんぷんかんぷん。なんのこと言ってるのか全くわかんない。
さっきのカカシの言葉の続きが気になったけど、まぁいいや。

そんなこんなで始まったプチ飲み会。
酒豪のふたりに付き合っていい感じに酔っ払った。懐かしい仲間と思い出話に花を咲かせながら飲む酒もまた格別だった。



お酒と再会




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