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ナルトと“友達”になってから一週間。
今日はいよいよ上忍試験当日。

昨日は柄にもなく緊張して一睡もできなかったけど、その分この一週間の修業を思い出せたからよかったとプラス思考に持っていく。

上忍試験とはいえ受験者は私だけで、会場になった演習場には三代目と試験官、そしてこれから来る試験相手の四人だけ。


「それではこれより、上忍選抜試験を開始します。ではユウナさん、あなたの試験相手となる上忍の方を紹介しますね」
「…はい」


あぁ、やっぱり私に試験なんて柄じゃないよ…。
さっきからばくばくとうるさい心臓を落ち着けようと目を閉じて深呼吸する。

落ち着け、落ち着け。
この一週間を、あの十年間を思い出せ。

大丈夫、私ならやれる。

少し落ち着いて三代目に目を向けると、なぜかにたぁと笑ってる。その顔に、綱手様のめんどくさいことになるときの面影を感じて背筋がぞっとするわけで。


「ユウナさんのお相手は…」


そんな試験官の声に続いてぼふっと目の前に上がった煙。もくもくとしたそれが晴れた時、その向こうには予想してたやつがいたわけで。


「よ!」
「上忍、はたけカカシさんです」


案の定、としか言いようがない相手にまた三代目を見ると、今度はしてやったりって顔をしている。

…いや、わかってたけどねあんたの顔見たら。つーかあんたいくつだよ、子供かよちくしょう。

頭の中で思いつく限りの悪態をついていると、いつの間にか目の前に来ていたカカシの指にぱちん、とデコピンされた。


「った!」
「なーに三代目にメンチ切ってんのよ。ずいぶん余裕あるじゃないの」
「…してやったり顔に腹立った」
「はぁ?」


カカシがわけわからんといった表情を浮かべたのと同時に聞こえてきたのは咳払い。そっと試験官の方を見ると早く始めたいんですけど、って顔してる。すいませんね、モウシワケナイ。

気合を入れなおすために額当てをきつく結びなおしてグローブをはめて、カカシと正面に向かい合った。もう一度うるさくなってきた心臓を落ち着けるように深く息を吸って、見慣れたその顔を真っすぐに見据える。


「お二方とも、よろしいですか?」
「いいよ」
「はい」

「…それでは、上忍選抜試験――はじめ!」


そんな試験官の声が聞こえたのと同時に手足に溜めておいたチャクラでカカシに飛びかかって拳を突き出せばすんでのところで避けられた。いつの間にか上げられた額当ての下の真っ赤な瞳が懐かしい。

…つーか避けれらよクソ。

カカシに届くはずだった拳は行き場がなくなって勢いそのままカカシの背後にあった木に突っ込んだ。吹き飛ぶ木に、溢れる舌打ち。


「おー怖い怖い。危なかったぁ」
「……喧嘩売ってんの?」
「俺がそんな命知らずな真似するわけないでしょ」
「…まぁいいや。そんじゃ、伊達に十年も里を離れて修行してたんじゃないってとこ見せてあげる」
「さすが綱手様の愛弟子ってところかな。…でも、ま!俺もあの頃よりは強くなってると思うよ」


相変わらず戦闘中は腹立つ言い方するやつだちくしょう。まぁ、きっとわざと私を煽ってるって感じなんだけど。
そんなことを考えながら、さっと印を結ぶ。


「火遁・灰積焼!」
「水遁・水陣壁!」


…やーっぱ読んでくるよねこいつ。絶対敵に回したくないタイプだわ。しかも前より印結ぶスピード上がってるし。

そんな風に思いながらはあ、と心の中でため息をついて、忍術戦を諦めて体術戦に持ち込んだ。

私が拳を突き出せば止める、足を蹴り上げれば避ける。
さすがエリート上忍、ぬかりないなぁ、なんて思って諦めモード。

…けど、ここで中途半端な結果もむかつくし…カカシに参ったって言わせてやる!
そう思ってさっきよりもスピードを上げて拳を向ければカカシの姿がすっと消えた。

冷静に辺りを見回す。
上を見てもいない、右もいない、左もだめなら…、とありったけの力で地面を殴れば案の定。抉れた地面の中でバレたか、って頭を掻くカカシになお腹が立つわけで。

そのあとも全く変わらない攻防が続いた。
試験だからかなかなか向こうから仕掛けてこないから、私は攻め、カカシは守りに徹してる。ちくしょう、やるならこいよって思いつつも、カカシが仕掛けてくるまで待っていられなくて結局攻め倒す。そしてギリギリで避けられたまたムカついた。

「そこまで!」と響いた試験官の声に動きを止めて乱れた任務服を正すと、カカシはふーっと息を吐いて額当てを下げた。


「結果は三日以内に火影様より直々に申し渡されます。試験はこれにて終了です、お疲れさまでした」


敬意を払って向かい合って一礼。頭を上げてカカシを見ると、なぜか満面の笑みを浮かべててぞっとした。
でも、なんでそんなに嬉しそうなのかわかんないけど、その笑顔につられて私もにっ、と笑った。




成果と手合わせ





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