「ねぇチハル」
「んー?」
「ちょいちょい」


昼飯を食い終わってまったりする時間。
皿を洗ってたチハルの後ろ姿に声をかけて呼べば、そんな返事と一緒に水を止めて手を拭いてこっちに来てくれる。


「もう洗い終わった?」
「うん、あとは拭くだけだよ」
「そう、ならあとでもいいね」


そう言って、ソファの俺の隣に座るチハルを横から抱きしめる。


「なに、どうしたの急に」
「ん、充電」
「なにそれ」


久しぶりに首筋に顔を埋めて鼻で深呼吸をすれば、ふふっと笑ってくすぐったそうに身をよじった。


「どうしたの、今日は甘えたさんだね」
「だって久しぶりなんだもん」
「たしかに。カカシずっと忙しかったもんねぇ」


そんなことを言いながら、チハルの腹に回った俺の腕を優しく撫でてくれる。
一緒に過ごすのは軽く一ヶ月ぶり。
任務漬けだった俺はもちろんだけど、同じ上忍のチハルだって同じくらい忙しかったわけで。忍不足が深刻な今、二人揃って非番になった今日っていう奇跡みたいな日を絶対に逃すわけにはいかない。


「ねぇ、チハル」
「ん?」
「あのさ、」
「うん」
「…」


あーダメだ。これ以上言葉が出てこない。
どうでもいいことならなんともなく言えるのになぁ。


「あのね、いつも心配かけてごめんね」
「うん?」
「ほら、俺がチャクラ切れで帰ってくるたび心配かけちゃってるでしょ」
「…たしかに」
「でもね、俺、チハルのことだけは何があっても守りたいって思ってるよ」
「…ありがとう」


言わなきゃいけない言葉が近づいてくるほど心臓がうるさくなる。
でも、ここで負けちゃダメだ。男を見せろ、はたけカカシ。


「…俺たちさ、そろそろ付き合って三年になるでしょ」
「もうそんなになるっけ」
「うん。だからね、そろそろいいんじゃないかと思ってて」
「?」
「…」


不思議そうに首をかしげるチハルを見て、深呼吸した。
落ち着け俺。今言わなきゃいつ言える。今日しかないんだ。今日を逃したらこんなチャンスはしばらく来ない。先延ばし先延ばしにしてたらいつになっても言えない。俺はそういう男だろ。明日明日って伸ばして、その間にもしチハルが他の男のところに行ったらどうする?

…絶対やだそんなの。考えたくもない。


「ちょっとカカシ、どうしたの?大丈夫?」
「…うん、平気」


くるりと身をよじって心配そうに、急に何も言わなくなった俺を見るチハル。
こんなに可愛いやつを、世界で一番大好きなこいつを、他の男なんかにとられてたまるか。


「…チハル」
「…」
「……愛してる。俺と結婚してください」


どうにか覚悟を決めてそう言った俺に、今まで見た中で最高の笑顔を浮かべて頷いてくれたこいつを絶対に幸せにしよう。そう思った。





愛の言葉を君に贈ろう
fin.


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