3.作った

そのダンジョンは突如として現れた。

大陸でも有数の大国の首都近くに現れた小さな神殿のような造りの建物。
中には一つの魔法陣のみ。
その魔法陣に乗るとダンジョンの中と外を行き来できる。

最初は入口こそ美しいものの、普通のダンジョンと思われていた。
1層は洞窟型で現れるのはゴブリン。
階層を降りるごとに強くなっていく魔物が落とすのは、
その魔物の一部で価値のある部分。
武具や薬の素材、食料等だった。

しかし、探索が続けられるうちに
このダンジョンにしかない特徴があることが分かった。

それは稀に金(きん)がドロップすること。
低層ではそれこそ粒としか言えないような大きさで、
恐ろしく低い確率でしか出ない。
しかしそれでも低層しか探索できなような下級の冒険者にとっては、
大金と言える額で売れる。
さらに下の階層に進むほどにドロップする確率は上がり、
大きな金(きん)が落ちることが分かった。



設置される宝箱もまた注目された。
非常に高性能な武器や防具が出るのだ。

低層でも、とても下級冒険者が買えないような質のいい剣が出た。
ある程度降りた階層では、見たこともないような魔術効果が付与された盾が出た。
また、調べつくされた低階層にもいつの間にか宝箱が出現することから、
下級の冒険者たちも宝箱探しに躍起になった。

もっと下に降りれば
それこそ国宝級のアイテムが出たとしても不思議ではないだろう。






冒険者たちは挙ってそのダンジョンに潜るようになった。

強いほど稼げるのはどこでも同じだが、
ここでは運が良ければ一攫千金も夢ではない。
そんな思いを持って。


誰も何故そんなダンジョンが出来たのかなどは考えなかった。






▽▽














一段落しましたよ、ダンジョン。
まだ百階層くらいだからこれからも広げていかないといけないけど。

もうすでに大人気だね。
やっぱり、金の力は偉大だ。
低確率で大金が手に入る仕様にすることで、射幸心を煽る作戦大成功だよ。

管理者の部屋(と俺は呼んでいるダンジョンコアの隠し場所)から
ダンジョン全体の様子を見て、笑いが止まらないね。



他にも嬉しい収穫があった。
なんと俺の体を作れることが分かったのだ。

魔物を作る能力の応用だ。

前世の俺をモデルに体を作ることに成功した。
さらに、その体に意識を移すこともできた。

もうこの状態だったら人間と変わらないだろ。
ダンジョンコアに生まれたデメリットも大分薄まったな。

いろいろ試したら、人間以外の体でも意識を移す(のり移るとも言う)
ことができた。
その気になれば、魔物にもなりきれるってことだな。


出来ることが格段に増えてよかった。







冒険者を集めることはできたし、自由に動ける体も手に入れた。


あとは俺の好きなように楽しんじゃおう。
前世でできなかったエロいことしたい。


中に入った冒険者にあんなことやこんなことをしたい。

何も工作をせずに好みの冒険者を攫っても良いんだけど、
それをすると「あのダンジョンは顔がいい奴がいつの間にか消える」なんて噂が
たつかもしれない。そんな事になって、冒険者が減ったら困る。



だから、誰にもバレずに冒険者を手に入れる仕掛けを作った。

ダンジョン固有のルールとして、秘かに冒険者全員に細工をするようにした。

中に入った冒険者はその体のコピーが作られる。
俺の体を作ったのと同じだ。
装備品や所持品、戦闘能力まで完璧に再現したコピーだ。

それで、冒険者の意識はコピーの方に移され、
コピーの体でダンジョン探索をする。
本体の体は探索エリアとは別の隠された空間に保管される。
これならコピーの体が傷ついても本体は無事でいられる。

ダンジョンの外に出るときはコピーが受けた傷を本体に転写して、
意識を本体に戻して外に送る。
これで冒険者は探索中だけコピーの体になっているなんて気づかない。


そしてダンジョンの中で冒険者が死んだとき、冒険者の意識は本体に戻る。
その本体を俺が手に入れるわけだ。


こうすることで冒険者の死を偽装することができる。
俺が頂いても(意味深)誰もそのことには気づかないし、変な噂が立つこともない。


後はダンジョン内で、冒険者が死ぬのを待つだけだ。



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