25.二人目の犠牲者2-4
少年、ミノーが現れてから俺の日常は大きく変化した。
最初に受けた説明は信じられないものだったが、どこか納得している自分がいた。
確かに俺は自分が死んだことを覚えている。
ダンジョンには通常の魔術ではできない不思議な能力もあるという。
死んだ俺がここにいるのも、
俺がここに来てから食事を一切取ってないのに生きていられるのも、
そういう力によるものなのだろう。
俺がゴブリンに犯られ続けていたのもミノーが元凶だと知って、
始めは怒りを覚えた。
しかし、今命があることへの対価だとするならば、決して法外とは言えないのではないだろうか。
この先何十年の生きるであろう時間と比べたら。
そう考えたら、ミノーに対する怒りも殆ど消えていた。
受けた扱いから、感謝をするには感情がついていかないが、
悪感情を抱くこともなかった。
だから、教示を依頼された時も特に悩みのせずに引き受けようと思った。
好奇心から引き受けない場合のことを聞いてみたら、元々引き受けるしかないことが分かったが。
壁から出してもらってから連れて行かれた部屋を見て、
何処の貴族の家だと思った。
毛足の長い敷物、体が沈む柔らかいソファ、巨大な寝台。
普通なら一冒険者が使うには高価すぎる代物だ。
教えを受けるミノーは意外にも真面目だった。
ダンジョンを統べる能力を持っていながら、なぜ人としての強さを求めるのかは分からなかったが。
筋がいいとは言えないが、俺の教えに対して真摯に向き合う姿は好感が持てた。
部屋で休んでいるときのミノーには、少し困った。
俺が本を読んでいるときは後ろから抱きしめてきた。
食事の時は俺が美味いと言うと、嬉しそうな顔をして食べる姿を見ていた。
風呂で汗を流した後に俺の髪を拭く。
そんなことを、まるで何でもないかのようにやっている。
様子を見る限り無自覚なのだろう。
無自覚に俺を甘やかそうとしてくる。
自分より年上の壮年の男に対してだ。
長らくこんな扱いをされていないから、
どういう反応をすれば良いか分からなくて困る。
▽▽
ここに来てから数日、夜になかなか寝付けない。
原因は分かっている。
身体が物足りないと訴えているんだろう。
前の場所にいたときはいつも眠るというよりは、失神して朝に目を覚ますという生活をしていたから。
胸が疼くような感覚が日に日に強くなっていく。
やらなくてはならない仕事がまだ終わっていないのに、期限が近づいているときのような焦燥感に似た感覚が。
こんなことで悩むとは思わなかった。
取り合えず処理をすれば眠れるようになるだろうか。
自分の寝室で自慰を始めた。
「・・・はぁ・・・・・は・・・・」
自分で性器を幾ら扱いてもダメだった。
勃ちはするが、達することが出来ない。
長い間ゴブリンに犯され続けた身体は前だけの刺激では足りないのだろう。
俺は迷った末に自分の尻に唾液で湿らした手を伸ばした。
あれだけ嫌がっていたというのに、自分で弄ることになるとは。
「・・・ふ・・・・・・くぅ・・・んんっ・・」
尻の穴は思いのほか抵抗なく指を呑み込んだ。
動きを速くしていく。
「・・んぁ・・ハァ・・・・あっ・うぅ・・・・ああっ・・・」
快感は確かにある。
しかし、どこか違うという感覚がなくならなった。
自分で弄るのでは、あの時のような目の眩む様な快感は訪れなかった。
自分だけでは尻を弄っても達することが出来ない。
いや、人にしてもらっても指だけでは足りないだろうと思う。
誰かに犯してほしい。
ふと、自分を甘やかす存在が頭に浮かんだ。
彼なら頼めばしてくれるだろうか。
「・・・ふっ・・・・・ミノー・・・」
無意識にその名前を呼んでいた。
「そこで俺の名前を呼ぶってなんだよ」
気付いたら、自分がいま求めていた存在が傍に居た。
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