23.二人目の犠牲者2-2

今日はゴブリンになってダンジョンに乗り出している。

低階層を彷徨っていると、冒険者と遭遇して戦闘になった。
こんなとこにいるだけあって大した実力はない相手なのだが、
こちらの身体スペックが低いせいもあり、苦戦している。

ゴブリン御用達の粗末な剣で打ち合いながら考える。
戦うことにも慣れて来た。
しかし、戦闘技術的にはまだまだ未熟だ。
見様見真似の魔術と勘で振るだけのチャンバラでは限界なのかもしれない。

しっかりした戦い方を学ぶ方法はないだろうか。


貧弱な体でなんとか戦っていたが、とうとう体が限界を迎えた。
相手の薙ぎ払いに力負けして防御した剣が弾かれた。

すぐに次の攻撃が来た。
これは防御が間に合わないな

ザシュッ

袈裟切りにされ、血が噴き出した。

特殊個体を倒したということで、
喜んでいる冒険者の声を聞きながら後ろに倒れる。


そういえば奴隷の中にかなり強い奴がいたな。
階層ボスを倒した奴。
あいつに教えて貰えないかな。

暗くなっていく視界の中、そんなことを考えていた。


▽▽


奴隷2号の元にやってきた。

戦い方や魔術の使い方を教えてくれるように頼みに来たのだが、
どう考えても時間を間違えたな。
とても交渉が出来そうな状態じゃなかった。

俺は目の前の腰から下が壁に埋まった男を暫く観察することにした。

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛〜・・・・・・はああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜・・・・・ぁ゛ぁぁ゛ぁあああ゛あ゛あああ゛、ア゛あ゛アアア゛あ゛ア゛ア゛ア゛〜・・・・」

幾ら見ていても、男は意味をなさない声を上げるだけだ。

男のケツは壁の向こうの部屋に突き出され、
そこでゴブリン達にかわるがわる犯されている。
全身がビクンビクンと震え続けていることから、
休む間もなくイキっぱなしな事が窺える。

「ああ゛あ゛あ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅ・・・」

顔を見れば白目を剥き、涙も涎も鼻水も垂れ流しだ。

与え続けられた絶頂の所為で、男の頭の中は真っ白に塗りつぶされている。
ヘラッと笑ったようなその顔からは、人の持つ知性はまるで感じられない。

精悍で男前な顔は、そのだらしのない表情のせいで台無しになっている。
俺は好きだけど。

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ・・・あへぇ・・ぁぁ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁ」

魔物と戦っていた嘗ての勇ましさは欠片もない。
圧倒的なまでに力の差がある筈のゴブリンによって、男という人格は破壊され、
人以下の何かに成り下がってしまったかのようだ。


俺は男の姿も満足するまで眺めると、ケツへの責めを止めさせ、
男が戻って来るのを待った。


▽▽


「・・・・・・・?・・」

暫く待っていると男が意識を取り戻した。
いや、正気を取り戻したといった方が正しいかもしれない。

さて、男に交渉をしなくては。

俺は取引を持ち掛ける予定だ。
戦い方、魔術の使い方なんかを教えてもらう代わりに、
男を壁から出して普通の暮らしをさせてやる。
ダンジョンから出すわけにはいかないが、普通の部屋で衣食住の面倒をみる。
性的にも手は出さないつもりだ。

相手に能動的に動いて貰うには、此方も相応の対応をしなくてはならないからな。
既にとんでもない扱いしてるから手遅れかもしれないけど。

「起きたか?」

男に話しかけたら、バッと此方を向いたのだが、
その後ポカンとしたまま止まってしまった。
どうしたんだ?

「おーい?」

また呼び掛けたら今度は凄い勢いで話しかけてきた。

「頼む!助けてくれっ」

この状態から助け出すのは構わない、
だがその前にこっちの要求を伝えて交換条件としなくては。

男が一度死んで俺の奴隷になった事も説明する必要があるな。

「まあ待て、まずは説明をk」
「壁に挟まって動けないんだ!」

・・・遮られた。

「いや、ちょっと待t」
「壁の向こうにゴブリンがいるんだ」
「だから聞k」
「助けてくるなら何でもするからっ」
「ん?今なんでもするっt」
「金なら全財産だって払う」

せっかくノってやろうとしたのに、また遮られた。

「落ち着け!」

男が止まらないのでゴブリンにケツを引っ叩かせた。

バシンッ

「ぬおっ」

衝撃でやっと黙った男の手を取った。

「なあ、まずは俺の話を聞けって。その間ゴブリンには手を出させないから。」




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