16.四人目の犠牲者1 (子持ち労働者編ー近親相姦・ショタ攻)
俺達がこのダンジョンに偶然だ。
逃げた末にたどり着いただけだった。
▽▽
俺は街道の整備作業に参加している。
所属する土木工業組合が受注したものだ。
何日も現場に泊まり作業をしている。
「おーい、そろそろ休憩にするぞ」
「おう、すぐ行く」
俺は作業の手を止めて休憩所に向かった。
そこでは何人もの作業員が地べたに座り込んでいた。
「はい、水だよ。パパ」
「エド。サンキュー」
息子が注いでくれた水を受け取る。
「はははは。このオーガみたいな男に『パパ』なんて、似合わねぇな」
「そうだな、親父に似なくて良かったなエド君。」
「うるせえ!誰がオーガだ」
傍に居た同僚が囃し立ててきたので怒鳴り返す。
確かに息子のエドは可愛らしい。
まだ幼いにも拘らず、親に苦労をかけまいと気を遣ういい子だ。
俺の職場に来て、色々な手伝いをしてくれている。
作業員たちに対して、荷物番をしてくれたり、食事や休憩の世話をしてくれる。
一生懸命なその姿に、組合の中でも人気がある。
まさに天使のような子だ。
▽▽
今日で街道の整備の仕事も終わった。
俺達は本拠地のあるの街に引き上げている所だ。
作業員で列になって歩いていると、前方から叫び声が聞こえた。
「グレートウルフだ!」
「凄い数だ」
「ヤバい、逃げろ!」
「バラバラに行け、森に入れ」
拙い。
魔物が出たらしい。
「エド!逃げるぞ」
「パパ!」
全員で戦っても勝てる相手ではない。
息子の手を引いて走り出す。
見晴らしのいい街道に居ては、すぐに追いつかれる。
身を隠すために森に入って行った。
何処に向かっているかなどわからない。
後ろから魔物が追ってくる気配がする。
ただ我武者羅に走った。
逃げた結果たどり着いたのは、あるダンジョンの入り口だった。
新しくできたダンジョンで、冒険者たちにも人気があると聞いている。
中に入れば冒険者に助けを求めることが出来るかもしれない。
魔物はすぐ近くに迫っている。
俺は迷うことなく、息子の手を引いて入口に入った。
しかし入口付近には、冒険者はいなかった。
さらに、追ってきた魔物までダンジョンに入ってくる気配がした。
俺は舌打ちを漏らし、奥へと進んで行った。
低層でも活動している冒険者はいる筈だ。
探すしかない。
木という障害物がなくなったせいかもしれない。
いつの間にか魔物に追いつかれていた。
「エド!危ない!」
魔物が息子に爪を振り下ろそうとしていた。
俺は反射的に息子と魔物の間に身を入れた。
「ぐあっ!」
「パパ」
背中に激しい痛みが走る。
息子が此方を振り返って心配そうな声を上げた。
「大丈夫だ。お前は先に逃げなさい」
俺は魔物に向き合った。
息子が逃げるための時間を稼がなくては。
向かって魔物に殴りかかった。
しかし、その拳は容易に避けられ、再び鋭い爪が襲いかかった。
「かはっ」
その爪は俺の喉を容易に切り裂いた。
視界に鮮血が噴き出すのが見える。
俺の体は崩れ落ち、すぐに視界も闇に染まった。
遠くで息子の悲鳴が聞こえた。
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