刺客あらわる



「ケイカ、ここ開いてます」
「ありがと、シャル」
「今、水持ってきますね」
「え、いいよ私が…」
「いいから、ケイカは座ってて」
「…むぅ、」



「ねーえアトワイト」
「なぁに?ハロルド」
「あの2人急に仲良くなってない?」
「…確かに、そうね」



ケイカがシャルと呼び出して2日目。二人は食堂に並んで入ってきた。女性隊員はシャルティエを見てほぅ、と息を吐き、男性隊員はケイカを見てはぁ、と溜息をつく。

つい先日までは互いを名前で呼んでいなかったのに、と兵士らは肩を落とす。まさか彼は、彼女は…恋仲になってしまったのか、という疑問が大きく膨れたからであろう。

実際は、そのようなことないのだが。


「昨日までは階級呼びの敬語だったわよね」
「そうね、シャルティエも今より堅かったはずだわ」

「…シャルティエったら、惚れたのかしら?」
「ふふ、ハロルドったら顔がいやらしいわよ?」
「なによ、アトワイトだってニヤニヤしてるじゃない」


食堂の一角を陣取っているハロルド、アトワイト、カーレル、ディムロス、リトラー、イクティノス。女性2人はケイカとシャルティエを見てニヤニヤといやらしい笑みを浮かべ、男性陣はちらちらと横目で見つつ食事を続けていた。


「ねぇ兄貴、ケイカってどうなの?」
「どう、とは?」
「仕事っぷりよぉ、アタシが拾ってきたんだもの、気になるの」
「よく働いてくれているよ。治癒も得意みたいでね、この間治してもらったんだ」
「その治癒術はアタシ直伝なのよ、すごいっしょ?」


ひょいひょい、と野菜を口に放り込みながらにこやかに話すハロルド、そしてコーヒーを飲みながら優しげな笑みを浮かべて話すカーレル。それを聞いていたアトワイトが"うちの治療班に欲しいわ"とぽつり零していた。


「彼女は、書類整理に纏め、剣術に治癒術か…申し分ないな」
「でしょでしょ?入れてよかったっしょ?ディムロス」
「…そうだな」


ごほん、と咳ばらいしたディムロスにアトワイトがくすりと笑った。少し顔が赤いディムロスは、コーヒーを飲み干して立ち上がり、アトワイトの食器も一緒に持ち歩いていった。


「アトワイト、いくぞ」
「はいはい、
じゃあねハロルド、また夜に」
「りょーかい、じゃね」


ヒラヒラと手を振り彼女達は別れた。ハロルドは再度シャルティエとケイカに目をやる。欠伸をするケイカを笑うシャルティエ、そしてそのシャルティエにむっとして、シャルティエのエビフライをケイカは口に運んでいた。


「うん、いいカップルじゃない
早くくっつけばいいのに」
「…ケイカはシャルティエが好きなのか?」
「えー?わかんないけど、2人でいることが多いし、よく飲んでるみたいよ?」

「付き合ってるわけではないんだろう?なら、わからないものだよ」
「え…もしかして、兄貴」



刺客、あらわる



(どっちを応援すれば?)



20120222

ゆっくり、と思ってたのですが、そういえばもう出来上がってました←




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