無意識プロテクト




「エル…っ!」


助けなきゃ、身体が勝手に動いていた。



ジョルジュ
(無意識プロテクト)



エルを助けなきゃ、守らなきゃ。怪我なんてさせられない。私が、私が守らなきゃ。ルリは魔物とエルの間に走り込み魔物が振り下ろした枝?腕?を、防御したものの直接喰らった。


「ぐぅ…っ、」

「ルリ!」
「っ、大丈夫、いくよ!」


ルドガーと頷き合い、それぞれ剣で魔物を切り付ける。ものの数回で絶命した魔物に、ふぅ、と溜息をついたのも束の間、息荒くその場にルリは膝をついた。


「ルリ!」
「待って、今治療するから」


ジュードの手から発される暖かい光に魔物から受けた傷は癒されていく。目を閉じて深く息を吐き、ゆっくりと目を開けたルリはエルににっこりと笑ってみせた。


「エル、大丈夫だった?」
「っ、うん、エルは平気」
「そう、ならいいわ
ごめんね、怖い思いさせて」


エルの頭を優しく撫でると、エルもホッとしたのかふにゃりと笑った。おいで、とルリが腕を広げると、たまらず抱き着く。


「ごめん、なさい…痛かったでしょ」
「大丈夫だよ、ジュードが治療してくれたんだもん

エルは気にしないの!…ね?」


うん、とルリに抱き着いたままルリの肩に顔を埋めたエルは、少し震えていた。


「ルリも、無理はしちゃ駄目だよ
女の子なんだし、もっと自分を大事にしなきゃ」


はぁい、とジュードの言葉に返して、ルドガーを見た。ルドガーは眉を寄せてルリを見下ろしている。


「ルドガー」
「……あぁ」
「あぁ、じゃわかんないよ
…怒ってる?」

「ルリを怒らないで!エルが気をつけてなかったからなんだから!」


ルリから離れたエルは、今にも零れそうなほど目に涙を溜めて、ルドガーを見上げた。ぽん、とエルの頭に手を置いたルドガーは「怒らないよ」と答えた。


「じゃあ、なんでルドガーそんな怖い顔してるの?」


エルの言葉に、ルドガーは目をそらす。ルリに怒ってなどいない。自分に腹が立っただけだ。ルリを、大事な姉を守れなかった、そのことに。ルドガーは苛立ちを隠せなかった。



「ちょっと、休憩しよう。ここは魔物が少ないから、ルリとエルが落ち着くまで、ね?」
「…あぁ」

「ん、ありがと」



ルドガー一人に、色々背負わせたくないんだけどなぁ。ルドガーは、きっと…うぅん絶対、自分が悪い、自分の責任だって、自分を責めてる。

けど、私が言っても、ルドガーは謝るだけなんだろう。

ルドガーは、悪くないのに。



(20121225)

メリークリスマス!
ここら辺はオリジナルなのでさくっといきまーす!