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兄弟リンク
兄さんと戦闘になった二人を、上から見ているしかなかったルリだったが、ルドガーとジュードだけに戦わせるのは申し訳ないと、「兄」と戦うのに腰が引けたが、ナックルと、非常用として隠されていた銃を握りしめた。
心滅ジョルジュ
(兄弟リンク)
「っ、兄さん…!」
ルリの声が聞こえた「ユリウス」は思わず上を見る。銃を構え照準を合わせているルリにニヤリと笑い、ルリを狙う「ユリウス」に、ルドガー、ジュードはそれを許さずコンボを決めた。
ルドガー達と共に戦うべく、階段から小走りでおりたルリは、エルに隠れててねと笑いまた銃を構える。ジュードとルドガーが苦戦しているのがわかる。弱い自分だけど、守るって決めたんだ、やろう。
「はぁぁああ!」
「ルリ、行くな!」
「危ないよ!」
銃を投げ捨てナックルを装着していたルリはユリウスに向かって走る。右手が熱い。熱が篭るように、何かの前兆のように。
「獅子戦吼!」
ドオォン―…!
名の如くまるで獅子が咆哮をあげたかのような衝撃波を繰り出すと、「ユリウス」は苦痛に顔を歪めルリを睨みつけた。
「ルリ、僕の後ろに下がってて」
「でも、」
「いいから…ね?」
「…うん、」
ジュードなりの気遣い。それは兄と戦わなければならないルリの悲しい顔を見たくないと思ったから。年上とはいえ、女性の悲しい顔は見たくないもの。戦わなければならないのが、人で、さらには兄だなんて、女性には可哀相すぎる。かといってルドガーが可哀相じゃないというわけではないが、先ほどから噛みすぎていたらしい唇は切れていて、見ていて痛々しかったのだ。体力の消費も激しいようだったし、ちょうど良かった。
「…っ、」
私がエレンピオス人じゃなかったら、霊力野があったら、治癒術を使えたのに。援護できたのに、支援術を扱えたかもしれないのに。
「うぁ…っ」
「、ルドガー!」
ユリウスに弾かれてルドガーの剣が一本カラカラとルリのところまでくる。
「ごめん、兄さん…!」
ユリウスに向かって走る。剣を構えて切り掛かるも、ユリウスは軽々と避けてルリに剣を向ける。ルドガーがルリの名を呼び、目線だけルドガーに向けると、頷いた。
「「はぁぁぁあ!」」
斬れた音は、思わず耳を塞ぎたくなるほどだった。床に倒れたユリウスに、ルリは顔をそむけて歯を食いしばる。なぜ、こんなことになったんだ…と。
―…
「その男は…!」
背後から聞こえた声に目を開けて、その方を見ると、ノヴァとヴェランドがいた。ユリウスを指差し、殺せ!とルドガーに言う。目を見開きヴェランドを見るルドガーは、首をふる。こいつを庇うのか、と怒鳴るヴェランドをルリは無意識に睨みつけていた。
「優しいな…お前は…」
ユリウスの声。
ぱ、とユリウスを見るも、次の瞬間、「兄」はヴェランドとノヴァを切り裂いていた。
「ノヴァ!」
ばたり、倒れた二人を見る。どうしよう、どうしよう!黒匣を使いたくない、でも…!目の前に助けられる人がいるなら助けなきゃ。深く息を吸い込み、よし。と呟いて黒匣を取り出そうとポケットに手を入れた。
「あ、っつ」
熱を発する物を取り出すとそれは今朝ユリウスから貰った黒い布袋。相当な熱を持っているようで、ルリはゆっくりとその袋を開ける。
「なに、これ…笛と、鍵?」
金色の、紅い小さな玉か埋め込まれたエルの時計と同じくらいの直径の鍵と、超音波笛?のような細い笛が入っていた。
熱くなっているのは鍵のようで、触ると熱くて落としてしまった。ユリウスを気にしつつ、まだ熱いだろう鍵を拾い上げた。だが、其れはひんやりと冷たく、ルリは首を傾げた。
「…兄さんを倒すしか、ない、か」
ルドガーの「選択」
ルドガーは先程のような異形の姿になっていた。うぉぉおお!とユリウスに走り込むがユリウスもルドガーに向かっていた。
ざしゅ、と肉の斬れるリアルな音が響いてルリは思わず耳を塞いだ。
ジュードはエル、ルリを気にしながらもルドガーを見る。
「それ、なに…?」
ルドガーの手に握られている槍の先に、チキチキチキ、と動く音。
それがパァン、と弾けるように消え去り
―…世界が、割れた。
「わぁぁぁぁああ…っ!」
次に目が覚めたとき、そこは見知らぬ薄暗いところだった。
(Chapter1:END)
20121113
やっとChapter1が終わりました…!
続いてリドウ登場ですね\(^O^)/
もうすでに捏造が始まりまくってますが、次回ルドガーとエルは空気です(・ω・)v←