「はい、コレ」
「…え…、」
朝、宿屋を出る前に出された服に固まった。なん、だと…!黒いミニのワンピースに白いフリル付きのエプロン、黒いニーハイ。"アルヴィン君へんたーい!"とティポが叫んで、エリーゼが若干引いているのも気にせずにっこりと笑う、この男…アルヴィン。
「約束、覚えてるよな?」
約束、とは…昨日の戦闘中にした約束のこと。
どっちが多くの魔物を倒すか、という簡単なもので、負けたら明日、つまり今日の服を決めるというものだった。当然負ける気はしなかったし、二つ返事で了承。…しなければ良かったと後悔したのは、戦闘が始まってからだった。
ミラ達に一切手出ししないように、と念を押して、私とアルヴィンだけの戦闘。接近戦でずばずば切ればいい!と思って私だけれど、あと一発のところで必ずアルヴィンが銃をぶっ放しやが…げふん、ぶっ放したのだ。
アルヴィンの一発で魔物が絶命していくもんだから、私は一体も倒せず、完敗。にやりと意地悪い笑みを浮かべたアルヴィンに、やられた…!と拳を握るとジュードに苦笑された。
「さて着てもらおうか、一体も倒せなかったリティルちゃん」
「む、むむむ!」
付き合ってられない、と宿屋から出ていったミラ達に"薄情者ぉぉ!"と叫んだのだが、無情にもぱたんと扉は閉まり、二人きりになる。
「…っ、着ればいいんでしょ!」
後ろを向いたアルヴィンに急かされながら、渡された服を着る。短い、短すぎるってスカート丈!アタッチメントで猫耳をつけられて、猫耳メイドの出来上がり!…いやぁぁああ!!
「似合ってるぜ?」
「、五月蝿いエロヴィン!」
賭け事はしない!
(にゃんって言ってみ?)
(〜っ……にゃん、)
20111010
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