丕緒の鳥(『丕緒の鳥』収録)
小野不由美 著
(新潮社)

yomyomを買いそびれたときは本当にショックだったことを覚えています。
やっと、やっと…読めたーーー!
十二国記最新作ッ!!いつ以来だろう!?(^∀^)
ワクワクして興奮が収まりませんでした。

さて、内容ですが、前作までの王や麒麟、彼らに近しい人たちではない人物が主人公でした。
王宮に住まう国官ではあるが、政に関与できるほど高い地位ではない羅氏(らし)の丕緒(ひしょ)。
彼は賓客や国の祭事で行われる射儀で、的になる陶鵲(とうしゃく)を誂えることが仕事です。
仙籍に入って、百数年の彼は知る人ぞ知る名羅氏と思われているようです。
しかし、彼にはもう陶鵲を作る気力がありません。
昔、彼の師が暴君へ変貌した王に 無実の罪を着せられたことが最初の原因だったのでしょうね…。
それから彼は陶鵲に自分(民)の思いを込め、メッセージ性を強めました。
しかし、どの王も丕緒の思いに気づかず、また気が付いても目を逸らしました。
その為、丕緒はすっかり心が荒んでしまいました。
次の王も、どうせやったところで自分の思いに気が付いてくれないだろう…と。

読者の私からすれば、陽子がどのような人物か知っているので「そんな逃げ出す子じゃない」「名君になる子だよ」と物語中ずっと思っていました。
でも、丕緒からすれば…慶国の民からすれば、王はもはや信用に足る存在ではなくなっていたのかもしれませんね。
短命な王が続き、国は豊かにならず、妖魔が溢れ、天災が起きる。
人々の心が荒んでしまうのは仕方がないですね。もう、この国の王は他国とは違って長続きしない、と最初から諦めていますね。

最後に、丕緒の心が救われて良かったと思いました。
陽子はしっかり丕緒の思いを感じ取って、さらに目を逸らさず向き合ってくれたんだね…。
いつか本編で丕緒に出てきてもらって、約束した“次の機会”を披露してくれたら嬉しいな…。
きっと陽子も即位してばかりの頃よりずっと成長しているので、また違った感想を言ってくれると思います。
私も一読者として、丕緒の作品を楽しみにしています(^ ^)

2013/08/11



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