9 紺side
「日和ちゃんを騙す!?」
「沢本落ち着け。騙すって言っても少し罠にはまってもらうだけだ。」
「それ十分騙してるよ!」
興奮してしまった俺を游洛先輩がなだめるように話の続きを話し出した。
游洛先輩が言うには、日和ちゃんに行動に出るよう促し、現行犯でそれを阻止するというものだった。日和ちゃんに行動に出てもらうために少し大がかりな計画を立てているんだって。
「大がかりな計画って?」
「それについては俺から話す。」
そう言って身をのり出してきたのは委員長だった。
「風紀チェックを理由に学園の生徒を教室内に留まらせ、教師にも風紀一人ひとりについてもらって職員室にも人がいない状況を作って、無瀬が動きやすいようにする。」
「でもそうしたら日和ちゃんも教室に拘束されることになりませんか?」
「普通はな。本題はここからだ。風紀が教室に来る前に無瀬だけを教室から連れ出して欲しいんだ。」
連れ出すって…
結構大事な役割じゃない?
「どんな方法でも良い。最低でも風紀が教室に行く20分前には教室の近くにいさせないようにしたい。このことは他の風紀には知らせていないから無瀬が廊下なんかで見つかったら終わりだ。」
終わり。
その言葉が僕に重くのしかかった。この人達が考えに考えた作戦が僕のせいでおじゃんになるかもしれない。失敗なんかできない。
「頼まれてくれるか?日和はクラスではお前くらいしか仲のいい奴はいないって言ってた。俺はいち早く日和に笑って欲しい。…お前もそうだろ?」
下がりかけていた顔が遊洛先輩の言葉でバッと上がった。
「…うん。」
日和ちゃん僕の事そんな風に言ってくれてたんだ。嬉しい。
「僕頑張るよ。絶対成功させてやるんだからね!!」
よし!こうなったら今日は徹夜だ!いろんな条件の場合の作戦たくさん練らなきゃ!
自然と口角があがるのが分かった。
嬉しい。頑張ろう。そして彼に最高の笑顔を。
「無瀬はいい友達持ったな。」
「あぁ。ほんとそう思う。」
「…。」
「上条?」
「なんでもねぇよ。」
そういえば借り物競争の時沢本の赤いブルマからのぞく白い太ももは自分の好みだったなと思いだす風紀委員長であった。
(いやいや。無瀬の黒猫の方がヤバかっただろ)
黒猫姿の日和を思い出しうずいた下半身に安堵した。
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