快楽を呼ぶ悪魔
01
――目が覚めたとき、紳は側にいなかった。
あたしは、腫れた目をこすって、起き上がった。
いつも通りの時間に学校に行ったけど、紳は来てなかった。
もしかしたら、どこかで見ていてくれてるのかもしれないけど……。
もう、あたしの前に現れる気はないのかなって思ったら、また少し、涙が出た。
……そうやって、紳の影ばかり追ってしまうあたしが、すごく嫌だった。
だって、あたしはヒロ兄と付き合ってる。
紳は人間じゃないけど、やっぱりそれって、すっごく失礼なことだもん。
いっぱい悩んで、覚悟は決めた。
今日、ヒロ兄に・・・首輪を、はずしてもらうんだ。
そう、決めたんだ。
初めてだから、ドキドキするし、すごく緊張する。
でも、ずっと大好きだった人だもん。
大丈夫、だよね?
まあ、もしかしたらそういう状況にならないかもしれないけど……。
でも、あたしは……きっと、紳も。
首輪が外れるのは、今日だって思ってる。
紳とあたしを結ぶたった一つの糸が切れるのは、今日だって、思ってる。