快楽を呼ぶ悪魔
02
ピンポーン、
「あずみ?」
学校が終わった後、急いでヒロ兄の家へと向かった。
チャイムを押した瞬間、間髪をいれずにヒロ兄がドアを開ける。
「あは。ヒロ兄、早すぎだよ」
あまりにもチャイムを押した瞬間にドアが開いたから、おかしくなって、あたしは吹きだした。
「いーのっ!……あがれよ」
ヒロ兄はこころもち顔を赤らめて言った。
うん、大丈夫。あたし、やっぱりヒロ兄のこと好きだ。
靴を脱いで、ヒロ兄のあとをついていく。
小さい頃から、何度も来てた家。
階段の横にかけてある絵も、電話にかかっているオレンジ色の布も、不思議なくらい昔と変わらない。
階段を上って、一番近くにあるドア。
ここが、ヒロ兄の部屋だ。
ヒロ兄が、ドアを開けた。
「・・・相変わらず、きれいだね」
少し、物が増えていた。
昔、机の上にはパソコンなんかなかったし、確かカーテンは青かった。今は、黒と白のストライプ。
「その辺、座って」
ヒロ兄が、ふわって笑って、テーブルの前のクッションを指さした。
「あ、うん」
あたしは……ベッドの前のクッションに、座った。
ヒロ兄が、机の一番下の引き出しをあけて、オレンジ色の袋を取り出した。
「あずみ、コンソメパンチ派だったよな?」
「・・・のり塩派だよ」
確かに、昔はコンソメパンチばっかり食べてた。
やめられない、止まらない〜♪
・・・あれ?違う、CMだっけ・・・?
・・・でも、ほんとにここ最近は、のり塩が好きなんだ。
「まじかよ?コンソメパンチしか買ってねーや」
「コンソメパンチも大好きだよ!」
あたしは、ヒロ兄に笑いかけて、差し出されたコンソメパンチを手にとった。
パリって封を開けて、テーブルに置く。
「いつからのり塩派なんだよ」
ヒロ兄が、コンソメパンチに手をのばしていった。
「んー・・・」
「昔CMにあわせて、歌ったり踊ったりしてただろ?」
「うー・・・。恥ずかしいから、忘れてよう」
そういえば、いつから……?
ええと、いつからだっけ。