快楽を呼ぶ悪魔 | ナノ

快楽を呼ぶ悪魔

07


「あ、ごめ・・・」


しばらく、経って。
泣くだけ泣いたあたしは、はっと我にかえって紳から離れた。
な、なんであたし……。


「ご、ごめんなさい・・・」





恥ずかしくなって、思わず俯く。
そ、そもそも・・・あたしがこんなんされてるのって、紳のせいだし……。
紳だって、気まぐれで助けてくれただけ。


……なのに、縋って泣き喚くなんて・・・。


俯くあたしの視界に、紳の顔が入る。
紳は・・・困ったみたいな、不思議な顔をしながら、あたしの頬に手を置いた。





セピア色の世界の中で、紳の目が、あたしの姿を映す。


「し、・・・んっ!?」


紳の、緑色の瞳が……。
徐々に近づいてきて・・・それから、あたしの視界が緑でいっぱいになった。





そして……。
気がついたら、紳の唇が、あたしの唇を覆っていた。





「……ふ、!?」


驚いて声を上げようとした瞬間、紳の舌が、あたしの咥内に滑り込んでくる。


「ふ・・・あっ、」


強引に舌を絡めとられて、咥内を犯される。
驚いて引っ込んだ舌を優しく絡めて、紳の歯が当たった。


……強引なのに、どこか優しい。
・・・変な、キス。


あまりのことに、動けない。
あたしは、固まって、されるがままになっていた。





……少しして、紳が唇を離した。


「し、」

「お前は、俺のものだと・・・言っただろ。……勝手に、襲われるな」


紳がそう吐き捨てるように言うと、立ち上がって先輩を睨みつけた。


「……こいつも……記憶を消せとか言うのか?」


紳が、冷たい目で先輩を見る。
……すごい・・・怖い。


でも、あたしだって、この人に対しては怒りを感じている。
見たくもないけど・・・。あたしも、紳に倣って先輩を見た。
それから、首を横に振る。


「ううん。この人は、カズヤさんとケントさんとは違う。もともと、そういうことを繰り返してる人だもん・・・」





それから、ふと気がついて、転がっている先輩のバッグを掴んだ。
中から転がり出てきたのは……。


「アルバム?」


小さいフォトアルバム。あたしはちょっと迷いながら……ページをめくった。


「きゃあっ!」


中にあった写真は……。
女の人の、裸。それも……情事後の。


「な、に・・・?これ……」


見たくない。でも、ページをめくると……。さっきの女の人の写真もあった。


「この人……無理やり襲って、写真を撮って……。それで、おどしてたんだ」


許せない。だからさっきの女の人、泣きながらあたしに謝ったんだ。





「この人は……記憶、消さなくてもいい」





あたしはふつふつと怒りが込み上げてくるのを抑えながら、紳に言った。
紳は、「そうか」って笑いながら頷いた。



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