快楽を呼ぶ悪魔
03
……あの、あと。
紳の周りには、常に女の子がいて、まったく近づけなかった。
この状況を問い詰めてやろうとしたのに、チャンスがない。
そうこうしているうちに、昼休みが終わり、体育の時間がやってきた。
「あずみ・・・?体育着にマフラーって、ありえないよ?」
千夏が、呆れたようにあたしを見た。
……ま、そうだよね。
「うーん・・・でも……」
これを外したら、また昨日みたいになるかもしれない。
でも、体育は男女別だし……。
先生も、女の人だし……。
「まあ、いいけど。たぶん、先生にはずせって言われるよ?」
「ん。言われたら、はずす」
とりあえず、マフラーは首に巻いたままにしてグラウンドに向かう。
今日は、陸上。
外に出て並んでいると、案の定先生にはずしなさいって言われた。
辺りを見回して……。
男の人、いないよね?
あたしはマフラーを外して、朝礼台の上にそっと置いた。
授業が終わったら、即効でつけなくっちゃ。
「雪村さん?その、首輪はなにかしら?」
列に戻ると、先生が不思議そうに尋ねてきたけど、とれないって説明すると、しぶしぶ納得してくれた。
……体育、やだなあ。