Color☆おたのしみSS | ナノ


(Red)


※仁菜視点、ちょっと未来
 微エロ?


ギシギシと、ベッドが音を立てる。
ベッドが揺れてるんだか、わたしが揺れてるんだか、よくわからない。


「あっ、あぁ」


自分の甘ったるい声が、すっごく恥ずかしい。
でも、禅さんはそんなわたしを見て、にこりと笑う。


「イく?」

「い、く・・・も、イくっ・・・」


ガツンと奥を突かれて、わたしはからだを痙攣させて絶頂を迎えた。そして、それと同時に意識も失った。





**********


「ん、っ・・・」

「……起きた?」


どれくらい、気を失っていたんだろう。
ゆっくり目を開けると、うっすらと微笑む禅さんの姿。
それから・・・腕枕・・・されてる?

慣れって本当に怖いなと思う。そもそも、抱きつぶされてからだも動かないし……。
わたしは、なんとなく現状を受け入れながら、ふっと目を閉じた。


「あり? 寝ちゃうの?」

「寝ません、けど・・・」

「ピロートークしないの?」

「……、む」


からだを揺さぶられて、わたしはゆっくり目を開けた。
目を開いた先で、禅さんがにこりと笑う。
……カッコよくて・・・憎めないから。顔を見ると、恥ずかしくて仕方なくなるから。
だから、目を閉じたのに……。


「赤、」

「んー?」

「目、赤いです」


にこにこ笑う禅さんになにか言わなきゃって気になって、わたしはついつい瞳の色を口にした。
すると、禅さんは「あー」と瞳を動かす。


「目立つよねー」

「はい」

「仁菜チャンに見つけてもらえるなら、ラッキーだーね」

「そ、そうですか・・・?」

「そうだよー」


禅さんが、わたしの目の周りにすーっと指を這わす。
その冷たい感触に、わたしは思わず目を閉じた。


「仁菜チャンは、赤って嫌い?」

「っ、ふぇ?」

「赤。好き? 嫌い?」


それから、禅さんは急にこんなことを言い出した。
赤、か。……赤。


「す・・・」

「す?」

「好き・・・です」

「……そお?」


今しているのは、赤色の話! 禅さんのことじゃない!
なのに、わたしは顔が赤くなるのが分かった。
もう、やだ!

くすりと笑った禅さんは、わたしの頬を撫でて、「俺も好きかも」と言った。
恥ずかしくて目を閉じたままだったから、禅さんの表情はわからないけれど・・・。


「……あ、そうだ」


と。
禅さんが、わたしから離れるのが分かる。
薄目を開けて禅さんの様子を見ると、禅さんは手元の棚をごそごそといじっていた。


「じゃーん」

「……?」


そして、棚から細長く、四角いものを取り出した。
ええと・・・これは、口紅かな・・・?


「赤い口紅だーよ。赤でおそろいにしようー?」

「え、え・・・? あの……なんで、」


口紅のキャップを開ける禅さんに、疑問が湧き上がる。
なんで・・・? なんで、口紅なんか……。


「なんで、とは?」

「な、なんで口紅持ってるんですか?」

「……?」

「『?』じゃなくて・・・! お、女の人の化粧道具ですよね!?」

「……あぁ。……なに? 気になる?」

「き、・・・になりま、せん」

「そ?」


禅さんは、どことなくうれしそうにくすくすと笑った。
わたしも、自分がなんでこんなことを気にしているのか分からなくて、「気にしていない」とウソをついてその話題を終わらせようとする。
……誰か、女の人が置いていったの、かな?
…………なんか・・・胸がモヤッとする。


「ちょっとごめんねー」

「んっ・・・」


変な気持ちを抱えていると、禅さんが口紅を持ってわたしに近づいてきた。
そして、赤い口紅をぐりぐりとわたしの唇に塗りたくる。


「んん、んーっ」

「あり? ちょっとはみ出しちゃった」


そりゃあ、そんな塗りかたしたらはみ出すよ!
お母さん、リップブラシみたいなので塗ってるの見るし……。

そんなことを考えていたら、いつの間にか禅さんの顔がわたしのすぐそばまで来ていた。
「わむっ」とか変な声をあげるわたしを放って、禅さんは赤い舌をぺろりと出す。


「ふ、っ!?」

「…………、」


禅さんの舌が、わたしの唇の輪郭をなぞり上げた。
一周、二周・・・そして、唇を食む。
驚いていると、禅さんはぷちゅっという音を立てながら、唇を離した。


「っ、は・・・」

「あはっ。きれいにできたー」


驚くわたしを尻目に、禅さんはわたしの顔の前に手鏡を持ってきた。
そして、「ね?」と首をかしげる。
わたしの唇は、いつもと違う色……血みたいなルージュに染まっていた。


「やっぱり似合うー」

「そ、うですか・・・?」

「うんうん。俺の思った通り!」

「……ぜ、禅さん!」

「んー?」


満足そうな禅さんに視線を投げると、そこにいたのは同じく唇を赤く染めた禅さん。
なんか・・・雰囲気が、よりアダルティーに・・・!


「唇、赤いです」

「ほんとー? おそろいだね」

「おそろい?」

「うん。ちゅーしたからね」


ふふっと笑った禅さんは、そう言いながらわたしの唇に、ついばむようなキスを落としてくる。
何度も何度も繰り返されるそれに、わたしは体の芯がうずくのを感じてしまった。


「もっかい、シよっか」


自覚した瞬間、わたしの心情が全部分かっているみたいに耳元でささやかれて……もう、逃げられない。
――わたしは、ぎゅっと目を閉じた。








(本当はね、仁菜チャンに似合うかなーって買ってきたんだ。でも、無自覚でも嫉妬してるのがかわいくて……いじわる、しちゃった)





***
禅は、当サイトでも異色の変態だと思います。
だって買わないよ、赤い口紅。
でも、彼を書くのは好きです!
けっこう、なにをしても許されるキャラクターなので。

時系列的には、本編より未来のお話です。
仁菜が、禅に絆されてきてる頃ですね(;´∀`)笑







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