歪んだ純愛16 | ナノ


歪んだ純愛 16

ギシ… ミシ…

臨也は絞められていく首を、死を感じながら、精一杯の笑顔で静雄と向き合った。


臨也の瞳から、久しぶりに涙が流れる。



「……………やっとかぁ」



膝が力なく落ち、チェアーにそのまま身を任せた。
静雄の首から血が零れ始め、臨也の両手を濡らす。
影は更に膨大になり、全ての矛先は臨也の首へと伸びていった。


涙と一緒に、とうとう波が押し寄せる。


「…寂しかったよ…ッ」


悲鳴にも似た声で、臨也は泣いた。


「ッ君が居ないと、こんなにも…世界はつまらない」


今なら静雄への想いが素直に溢れてくる。



「シズちゃん、好きだよ」


そう言うと、静雄の閉じた目から、涙が溢れ、流れた。

「君が好きだ」


キスがしたい。
抱き締めたい。
目を合わせたい。
喧嘩もまだまだしたいし、もう一度好きだって言って欲しい。


“俺も、臨也ことが好きだ”

そう、遠くで聞こえた気がする。


(神なんて信じていないけど、 次会う時は、一番に君を見つけるよ。必ずだ。)


最後の力を振り絞り、臨也は静雄の唇にキスをした。
最初で最後の、純粋な口付けだった。


静雄から流れた涙は臨也の頬に落ち、二人の涙は交じり合う。
それを最後に、臨也の両手は力なく崩れ落ちた。
静雄は臨也の首を解放すると、自由になった影だけがゆらゆらと舞い、今度は二人を引き寄せるように一緒に包み込む。


血と黒に染まりつつ、臨也の腕の中で静雄もまた、安らかな眠りを迎えた。







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