◎歪んだ純愛 15
ガタンッ
「!?セルティ!どうしたの!セルティ!!」
突然苦しみだしたセルティに新羅は咄嗟に駆け寄った。
『突然、影が、言う事を…ッ聞かないんだ!やめろ、やめろ!静雄、何をする気だ、やめてくれ!静雄!』
察知した新羅が状況を把握し、歯を食いしばる。
「!セルティ、泣かないで、私が居るから、お願いだから、頼むよ!」
“ありがとうな、親友”
『臨也が死んでしまう!静雄が!静雄が…!』
どこからか聞こえてくる声に、セルティは顔のない姿で泣いた。
新羅は怒りと悲しみのあまり口端が切れて血が床に零れ落ちる。
「バカだ、静雄も、臨也も…ッ!セルティ、お願いだから、もう苦しまないで、私が居るから、頼むから、何でもするから」
もがき苦しみ床に倒れて暴れるセルティを、新羅は上から強く抱き締めることしか出来なかった。
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ギリ…
「…ッ」
臨也の首がどんどん締め付けられていく。
静雄を持ち上げている手が痺れ始めた。
こんな状況であるのにも関わらず、心から歓喜に満ちていた。
「おお、ハレルヤ!何をしても方法が見つからなかったというのに、俺のキスひとつでこんな変化が起きるなんて!なんてことだ…なんてことだよ!」
声を震わせて叫ぶ。
もう泣いているのか喜んでいるのか、臨也にも理解できない領域に達していた。
そして
「!?」
今、静雄の瞼が、ぴくりと動いたような気がした。
抱き上げたまま頬を指でなぞる。
「シズちゃん、俺がわかるんだね」
『テメェは俺の手で殺す!』
そう何度も言われ続けてきた。
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