歪んだ純愛17 | ナノ


歪んだ純愛 17






日差しが心地良く、セルティはベッドの上で窓から見える青い空を眺めていた。


『…』

空の向こうから、声が聞こえる気がする。


 シズちゃん、次に出会えたときは、もっと素直にならないとねぇ。

 それはお前だろうが! 捻くれた性格は死んでも直らないよなぁ

 フフ…きっとどんな形になろうとも、
 俺たちは惹かれ合うよ 第一印象が最悪でも、またいつか気づく時がくるだろう。


「セルティ、大分落ち着いたかい?」

白い布に包まれた陶器を二つ腕に抱えながら、新羅が部屋に入ってきた。

『…!ああ、大丈夫だ』
「そう、良かった」

そして、開いた窓からの鮮やかな空を見て、新羅は深呼吸をする。

「そろそろ行こうか。ドタチン達ももう二人のところに出向いてるってさ」
『ああ、行こう。』
「ご家族もやっと落ち着いたみたいだ。まぁ、戸籍上一緒に入れてやるのは無理だけど、あいつらは隣同士くらいが丁度良いよ」
『ふふ、そうだな…喧嘩ばかりで煩いったらありゃしないものな』

セルティは力強く頷いた。 寝巻きを解き、いつものライダーススーツに着替えてヘルメットをセットした。

「あ!ごめん、鍵取ってくるから、臨也と静雄持ってて」

重みのあるそれを受け取り、彼女は二人を見下ろした。
臨也と静雄は似た者同士、されど、常に対極の存在であった。
振り返り、窓の外を仰ぎ見る。 こんなにも澄んだ空なのに、こうも切なくなる。

「お待たせ…って、あ!」
『どうした?』
「静雄の身体の方を埋葬した時さ、臨也の小指も一緒のままだったんだ」
『!…フフ、良いじゃないか、それくらい。ご家族も文句言わないさ』
「ま、そうだよね!それくらい…良いよ、ね。」
『新羅…私は、ずっとお前の傍に居るぞ』

セルティは新羅の胸へと身体を寄せた。

「セルティ」
『あいつらも私達と同じだ。今だってずっと一緒に居て、喧嘩してるんだから』
「ああ、そうだね、そうだ…」



セルティは、微笑ましく健やかな気持ちで今は空を見ることができる。

『……じゃあな、二人とも』

(また、私も友としてお前達と出会えることを切に願う。 といっても、仲介役はもう懲り懲りだぞ?)

「セルティ!準備出来たよー!」
『ああ、今行く』

窓は開けたままにしておいた。
部屋から出ようとすると、最後に、びゅうう!と強い風が吹き、開いた窓から風が吹き上げる。
…また、声が聞こえた気がした。  




 またな、臨也。 どうせまた会うんだからよ

 そうだねぇ、腹立たしいけどそれが運命というならば、
 抗わずに受け入れようじゃないか

ったく減らず口が! 今度会った時もぶっ飛ばしてやる! そして今もだ!

 アハハハ! やれるもんならやってみなよ、シズちゃん!

 この、待ちやがれ、臨也!




『フフフ、相変わらずな奴らだ…』


心地良い風がいつまでも吹き続けている。
青く輝かしい空も、どこまでも続いている。



まるで、あの二人のように。           



End.


歪んだ純愛



2012/10/01
どんな形であれ、互いに惹かれあっている事に変わりはない二人をこうした展開で書くのは初めてでした。
二人の可能性は無限大だと、常々思います。
日に日に増す二人への愛が溢れんばかりです。
長くなりましたが、読んでくださり有難うございました。

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