歪んだ純愛11 | ナノ


歪んだ純愛 11

事の流れがなかったかのように、臨也はいつもの出で立ちに着替え直し、数日もの間デスクに向かいきりになった。
時間は多くない。
全ての情報網を拡げ、資金も惜しまなかった。

(あんまり残らなかったらセルティに怒られちゃうなァ)

貯金残高をパソコン画面で眺めながら苦笑する。
海外へのコンタクトも円滑にするため、出来る限りの機材を買って部屋に並べた。
飲みも食いもほとんどせず、指をキーボードに走らせ続けた。


世間には様々な極秘研究をしている施設や学者が蔓延っている。
あまりに突拍子も無い取引の為か、自ら名乗り出るところは臨也の目に適わないものばかりで、溜息だけが漏れた。

裏社会で有力なところでも今の時代では在り得なく、今後の縁を切られる得意先も多々あったがそんな事はもうどうでも良かった。

(首だけの化け物を俺の身体に移植する方法なんて、そりゃ無茶な話か)

それでなくても首だけで永らえる方法など、ある筈がない。
気が狂っていると思われても仕方のないことだ。
それに、方法があったとしても静雄が別の人間の身体に移植されるなんてことは許しがたいことだったし、あくまで彼自身の身体か臨也の身体を差し出す事以外考えられなかった。

だが、彼の身体は既に死にもうこの身体しか残っていないのだ。
冷凍保存等の考えが脳裏を過ぎったが、研究室で起こった事を思い出し、静雄自身が生きることを望んでいないと悟ってしまった。
それを判っていながらも臨也は抗い、ただ、生きていて欲しいという想いだけで今は行動していた。

臨也は、日が暮れても夜が明けても、 ずっと静雄のことだけを想っていた。










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