いけばな 3
──────それで満足?



ぐりぃっ




赤く腫れ上がる位が丁度良い。
血は出なくても良い、皮膚の中でひり付く方が篭った熱にうなされると知ったから。



「…ぐ、ぅ!」

じゃらりと鎖が撓る。
両手首には静雄専用に施された頑丈な手枷と鎖。
臨也の細く長い指先が摘んでいるのは、赤く腫れあがった静雄の胸の突起だ。

こんな関係になる前より、大きくなった気がする。
色も心なしか濃くなった気がする。

・・・・

そんな俺を見て、臨也はいつも笑い、吐き捨てる。

「 変 態 」



ア ハ ハ ハ ハ !!



臨也は毎回、実に楽しそうに高笑いする。
腹が立つが、今の状態では快楽にしかならない。

「見てよ!陥没してる、男のくせにおっかしい!」

ひいひいと腹を抱えて笑った後、すぅっと冷めた顔に戻る。


どがっ


「ッぅ!」


破かれたシャツの端で猿轡を作られて何度目か。
幽に貰ったバーテンダー服のセットもバラつきが出てきた。

どがっ

臨也は殴るより蹴る方が得意のようだ。
見事にわき腹へヒットするが、静雄にはまだまだ足りない。


「んっ、んん」
「ふふ…あぁ…シズちゃん…ふふ」

臨也はというと、

痛めつけても痛めつけても壊れない人形に苛立ち、
痛めつけても痛めつけても悦ぶ化け物に共感を抱き、
…臨也は今日も下半身が熱くなるのを覚える。

こうなってからは、いつもの、こと、だ。
いや、こうなる前からだろうか。


「シズちゃん、シズちゃん」
「ん、んっ、んっ―」

ナイフをくるりと回して勢い良く切りつけてくる。
今証を残しても、何故か傷跡は残らない。
だけども今、血は飛んで臨也の頬を濡らす。

飛んで濡らした瞬間、ドクリと臨也の血が騒ぐ。

静雄の身体はとても美しかった。
毎回見てもしなやかで、臨也は何度傷つけてもなかったことにされているようで苛立った。
だが、ファーストコンタクトでのあの傷だけが、溝を作って存在を主張していたのだ。


当初は、それを見ただけで臨也は勃起した。


始めは静雄が頼んだものの、
臨也はこうなることを望んでいただろう。


お互い、こうしている時だけ、我を忘れて行為に没頭している。




「さぁ…殺しあおう、シズちゃん」
「…来い、臨也」



ザシュッ!!!!


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