小説 | ナノ
近未来的願望(久々知と尾浜)


「星をさ、見てると…さびしくなる」

「なんでさ」



夏の夜空はまた格別だ
一年の頃、夏の大三角形を探したのがいい思い出である



「兵助」

「勘ちゃん、まださっきの質問に答えてない」

「ん〜俺なんか言ったっけ」


なんとなくはぐらかされた兵助は不満そうにゴロンと寝転がった


「勘ちゃん…寝たら冷たくて気持ちいいよ」

「ほんとか!?」



兵助に倣って寝転がると、ひんやりした冷気が火照った頬を冷やした

「!」

不意にバッチリと目が合った二人は、互いに笑いあった


「さびしくなんかない」

「んあ?」

「だって…」



―兵助や、みんながいるから―



そう言うと、久々知はゴロンとまた寝返りを打った



「勘ちゃんは馬鹿みたいに素直だよ…ずるい」

「ん、ありがと」



照れている久々知をみて、尾浜はどこか嬉しくなった


流れ星が一筋流れるのを見て


―ずっとずっとずーっとみんなと一緒にいられますように―


そんな近未来はあり得ないと分かってはいるけれど…

願うのは自由…だよね

と、尾浜は笑った

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