小説 | ナノ
ねぇねぇあのね?(綾滝)


「ねぇねぇ」

「あのね」


聞いてほしいことがある
きみだけに










滝とは最初は全然話さなかった。凛としてて…そうだな、高嶺の花ってやつ。男をそう形容するのはなんだか奇妙だと思われるかもしれないが、むしろ滝にはそちらの方がしっくりくる。



「ねぇねぇ滝ちゃん」

「なんだ喜八郎」



俺は滝のさらさらした髪で遊ぶのが好きなんだ。

そう言えば、滝はまた教科書に目を落とす。

おやまあ、照れちゃった。

まぁ、そんな反応が見たかったから言ったんだけど。


「あのね、滝ちゃん」

「ん?」



だいすきだよ





ああ、その…笑った顔が、だいすきだよ

俺はたまらなくなってその可愛いおでこに、
キスをした。







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