RAINY DAY 3
「おはよー!」
勢いよくドアを開けると帰ってくる複数の声。
「いやー朝って清々しいよな」
そう呟くと、雷蔵はここぞとばかりに爆笑した。雷蔵の笑いのツボは俺と若干ズレているからわからない。
「八ったらホントおかしー」
「なにがだよ、朝は清々しいだろ」
それにまた吹き出す雷蔵。
「ほらほら、雷蔵の腹筋鍛えなくていいから。にしても八、お前すげーよな。まだこんな時間だし」
「へへ、俺も本気出せばこんなもんだ」
「ふーん…まさか、彼女にでもモーニングコールしてもらってる…とか」
「…へ?」
「え!八そうなの?」
興味津々ににじり寄ってくる二人に、俺はこう言った。
「ああ、そうだ!」
……………
なんでそう言ったんだろうか…やめときゃ良かった…
ただあの時計の話に触れることを避けたくて。面倒だから三郎の話に合わせたのだ。
まぁ…その結果、俺は後悔することになるわけだが。
「まじで!?」
「ホントに!?八!」
「お…おお」
予想以上の二人の反応に、俺は正直驚いた。八がやっと童貞卒業だとか失礼なことを言うもんだから、なんだか意地で否定しにくくなった。
今日はお祝いだ、と昼休みはいつものメンバーで屋上に行こうという話になった。
………本当にすみません、後悔してます。
その日の昼休み。
いつものメンバーで屋上に集まった。
話題に上るのはもちろん…
「ええええ彼女できたの!」
それですよねー…やっぱり。
勘右衛門は羨ましそうに俺を見た。兵助をチラリと見やると…
「あれ…兵助お前怒って…る?」
「怒ってない」
口ではそうは言っていても…明らかに不機嫌だった。
「…言わなくてごめん」
「はっちゃんに彼女とか…ありえない」
「な!」
それはいくらなんでも失礼ではないだろうか。俺だって…今回は嘘だけど…いつかは可愛い彼女だってできる…はずだ。やばいちょっと悲しくなってきた。
「あーいいなぁ…俺も彼女欲しいよ〜…人生やり直したい」
「あ」
「え?」
「いや…なんでもない」
そうか…その手があったか。
誤解する前に時間を戻せばいいのだ。それなら話は早い。と思ったが…
明らかに不機嫌な兵助を見て、やめた。そんなに俺に彼女ができるのが嫌か。不名誉な肩書きを兵助に謝ってもらうまでは嘘を突き通そうと俺は決めた。
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