残したい跡

日に当たれない為白いのを通り越して青白い肌は陶器のような滑らかで、身体は極限まで鍛え抜かれ引き締まり美しい。ツゥと指で鎖骨辺りをなぞる。
チラと黒死牟を見上げれば、何か言いたげに此方を見ていた。

「ねえ、黒死牟は怪我をしてもすぐ治るのよね?」
「ああ。」

ヒタリと手を彼の胸に乗せて身を寄せた。無防備に晒された首元にカブリ、噛み付いた。
ほんの少し肩が揺れただけで、抵抗はされない。それを良い事に顎の力を入れる。するとジワリと口の中に鉄の味が広がった。少し切れたのだろう。

くっきりと綺麗な歯型がついていたのだけれど、たちまち何もなかったかのように綺麗に治ってしまった。
ぎゅと眉を寄せる。

「やっぱり…跡は残らない。」
「鬼だからな。そればかりはどうする事も出来ない。」
「だって。ずるい。私もつけたいのに…。」

そう言えば、黒死牟が少しだけ笑ったのが分かった。
私の体には先程の事情で首から腹辺りまで花弁が散らばったかのように紅い跡があちこちについている。

「私は…つける方が良い。」

そう言って再び私を押し倒し、欲が孕んだ金色の瞳が私を見下ろした。

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