その美しい瞳に

良く目が怖いと言われるのだが、

その言葉を聞いて、パチクリと目を瞬かせる。もぐもぐと動かし口の中で咀嚼していた団子をごっくんと飲み込んで、隣に座っている煉獄さんの方を向いた。
ギョロとした少し吊り上がっている大きな猫目はぱっちりと開かれており、心なしかどこに焦点を当てているのかは分からない。しかし、ちゃんと私を見ている事は分かる。確かに目力強く、意志の強いその瞳の前ではシャンと背筋が伸び、嘘がつけないような気持ちにはなるが、恐い、とは一度も思った事がなかった。

「気にしていらっしゃるのですか?」
「む、いや、君も同じ事を思っているのだろうかと気になってな!」

腕を組んで、はっはっと笑っている煉獄さんの横顔が沈みかけた夕陽に照らされて、色素の薄い金色の瞳が輝く。瞳の奥には秘められた炎のような紅が透けて見え、感嘆の息を吐いた。恐ろしい訳がない。

「私は美しいと、思いますけど、、」

無意識に口から溢れた言葉。
少しだけ驚いたような顔をして私の方を向いた煉獄さん。すると、視線がぶつかった。紅が混じった琥珀色の美しいと思った瞳にジッと見つめられ、自分で言っておきながら気恥ずかしくなりフイと視線を外す。
隣でふっ、と笑う声が聞こえた。

「君は、愛らしいな。」
「なっ、」

次は、私が驚いて煉獄さんの方を見ると愛おしげに細められた瞳に見下ろされ、カッと顔が熱くなるのが分かった。何か言おうと思って開いた口からは言葉が出ずに、情けないことに金魚のようにパクパクと動くだけである。きゅと口を閉じて、真っ赤になった顔を隠すように俯けば楽しそうに笑う煉獄さんの声が鼓膜を優しく揺らした。

火照ったように赤くなっり熱を持った頬は当分引かなさそうだ。

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