溢れ出す感情

今回は単独での2週間程度の長期任務であった。炎柱である煉獄さんと継子の私は大抵の事がない限り共に行動しているのだけれど、人員不足と階級の高い適任の人間が居なかった為、今回私にお鉢が回ってきた。
やっと仕事が片付き、犠牲も出さず無事に鬼の首を刎ね疲れ切った体に鞭を打ちながら煉獄家の屋敷に辿り着く。そこには敬愛してやまない師範の姿が。きっと彼も私と同じく仕事終わりなのだろう。こちらに気づいた師範が片手を上げてニパと笑うので、疲れなんて一瞬で吹き飛ぶ。二週間も会えていなかったのだ。久しぶりに会えた喜びでその場から駆け出し、彼の胸へと躊躇なく飛び込んだ。

「師範!師範ー!会いたかったです!もう本当に会いたくてたまりませんでした!二週間ですよ!二週間!長かったです!」

グリグリと彼の胸に頭を押し付けぎゅうと抱きつけば、よもやよもや、と言いながらポンポンと優しく頭を撫でられる。

「久しぶりだな!長い任務だったみたいだが元気そうで何よりだ!」
「師範もお変わりないようで!」

胸に押しつけていた頭を上げて彼を見上げれば、慈しむような暖かい笑みを浮かべていたので、キュウと胸が締め付けられる。ああ。好きだ。この人が好きだ。愛おしさが溢れ、思わず背伸びをして師範に口付けようとしたが、間入れずにパシと手のひらに口元を押さえられ阻止されてしまう。不満げに見上げれば、眉を下げ少し困ったように笑っていた。

「ここでは駄目だ。誰が見ているか分からん!それと色々示しがつかんだろう。」

至極真っ当なのだけれど、少しだけ気に食わなくて、口元を抑えられている手の平に舌を這わせ、ペロリと舐めた。すると物凄い勢いで手が離れ、耳を真っ赤にした師範がぱっちりと目を開きながら面白いくらいに固まっている。
少し悪戯に笑いながら、未だに硬直している彼の襟を引っ張り自分の方に引き寄せ耳元で囁いた。

「じゃあ、屋敷に入ったら沢山して下さいね。」

ちゅ、と可愛いらしく触れるだけの口付けをして、翻し師範を置いて屋敷に駆けて入れば後ろから動揺しながら少し咎めるように私の名前を呼ぶ師範の声が聞こえた。


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