オレとキミのユメ



side:沢田綱吉


 それからの出来事は、あっという間だった。
 自ら命を捨てたビアンカを見て、白蘭はオレを射殺。正一くんが死ぬ気弾に似た特殊弾に弾をすり替えてくれたから、仮死状態だったんだけどね。
 その後は、いろいろなことがあったと正一くんから聞いた。
 当初の予定どおり、とまではいかなかったみたいだけど、十年前のオレと守護者たち。他にもアルコバレーノにヴァリアーやディーノさんたちのおかげで、白蘭を倒すことができた。
 それとユニのおかげでマーレリングが封印され、山本のお父さんやミルフィオーレに殺された人たちも生き返った、って言葉はちょっと変だけど。
 とにもかくにも、すべて終わったんだ。





 すべてが終わった、数ヶ月後。
 ミルフィオーレとの全面戦争の後処理でごたごたしていたボンゴレ総本部も、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。

「やっぱりここにいたか」
「あれ、リボーン」
「相変わらず、見事なストロベリーキャンドルの花だな」
「ああ、庭師たちに感謝しないとな」

 ボンゴレ総本部内にある庭園。
 そこには庭師たちが丹精込めて育てた花があり、どれも美しく見る人を魅了する。中でもストロベリーキャンドルの花は別格だろう。
 この庭園はビアンカがお気に入りだった場所で、俺は時間さえあれば、ここに足を運んでいる。

「ビアンカが秘書としていた頃は、屋敷のいたる所にストロベリーキャンドルの花があったな。花言葉はなんなんだ?」
「いろいろあったよ。私を思い出して、胸に灯を灯す、素朴な愛らしさ、それと人知れぬ恋」
「まるでお前たちみたいだな」
「え?」

 俺は思わず振り返り、リボーンを見た。

「人知れぬ恋。最初は偽りの関係を築いていたお前たちだったが、気付いた時にはお互いに恋に落ちていた。周りの俺たちも、本人たちも知らずにな。まさにピッタリじゃねえか」
「ははっ、確かに。……あ、もしかして俺のこと捜してた?」
「当たり前だろうが。もう――」
「会議の時間だろ?」

 立ち上がって身嗜みを整えながら言えば、リボーンは驚いたように俺を見た。

「……お前が会議の時間を覚えてるなんて珍しいな」
「そりゃだって、ビアンカのためにもいい世界を作らないとな」
「は?」
「ビアンカと幸せな人生送りたいからな、マフィアの抗争がない世界を作りたいんだ。ほら、オレって人の命の奪い合いにも、権力にも地位にも金にも興味ないだろ? ただ少しでも暮らしやすい世界を作りたくて、マフィアのボスの座に就いた」
「ツナ……」
「ビアンカも、それに賛成してくれたんだ。普通なら笑っちゃう話なのにね」

 俺はストロベリーキャンドルの花に優しく触れた。

「だから、今から少しでもマフィアの抗争がない世界を作る為に仕事しないと」
「……ツナの好きなようにやればいいさ」

 呆れたように言うリボーンの言葉を聞いて、俺は空を見上げて笑った。

fin



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