私が愛した人たち



「……ビアンカ?」

 いつまでも撃たれぬことを不思議に思ったのか、綱吉は目を開けた。

「ビアンカちゃん? どうかしたの?」
「……ごめんなさい、白蘭様」

 私は静かに拳銃を下した。

「私に、私には、彼を殺すことなんて出来ません。だって、彼を愛しているんですから」

 やっと、あの時の返事ができた。
 これでもう――何も思い残すことはない。

「……ビアンカちゃん。君は長い間、彼の傍にいたから情が湧いただけだよ。今の言葉は忘れてあげる。だから、今すぐに彼を殺すんだッ」

 予想外の出来事だからか、いつも飄々としている白蘭様の顔は怒りに満ちていた。

「白蘭様。あなたに頂いた愛をお返しすることができなくて、ごめんなさい」

 後ろを振り返り、謝罪の言葉を述べた。
 そして持っていた拳銃を、自分の頭に当てた。

「ビアンカちゃん!」
「ビアンカ待てッ」
「……来世で、幸せになりましょう?」

 にこりと笑って、私は引き金を引いた。


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