秘めた想いを胸に
何が起こったのか、事情を説明してもらった私は、驚きでいっぱいだった。
「なんだって、そんなことを……! 必ずしも無事だという保証はどこにも……!」
「まだ気付かないの」
「え?」
「君のためだよ。白蘭から君を奪うには、この方法しかない」
「だからって……!」
「どの道、ミルフィオーレファミリーとは戦うことになる。それは、君が一番解っているはずだよ」
「……っ」
彼の言うとおり、それは私が一番よく解っていた。ボンゴレ狩りの準備ができたとあっては、ボンゴレとミルフィオーレが戦うのも時間の問題だ。
「……綱吉に、伝えてくれますか」
「なに」
「バカ、と一言だけ」
そう言うと、彼は目を丸くした。
まあ普通なら、「愛している」や「死なないで」といった言葉を言うと思うけど。
「君のそういうところ、僕は好きだったよ」
「お気持ちだけ受け取っておきます。……ありがとうございました、雲雀さん」
お礼の言葉と同時に頭を下げた。そして自分の身長の二倍以上ある高さの壁をジャンプで超えて行った。
「……まったく、沢田綱吉にはもったいない子だね」
私は知らなかった。滅多に笑わないことで有名な雲雀さんが、優しく微笑んでいたということに。