彼らなりの餞別



 軽く息を切らしながら、裏門付近にまで来た。辺りをきょろきょろと見渡して、雲雀様を捜す。

「ここだよ」
「雲雀様!」

 木の影から出て来た雲雀様のもとへ駆け寄る。

「“様”」
「え?」
「君はもう敵でしょ。だったら様付けは必要ないはずだ」
「あ……」
「こっちだよ」

 背を向けてスタスタと歩き出したか彼を慌てて追いかける。裏門から数十メートル離れた所で、彼は足を止めた。

「ここからなら死角で警備や防犯カメラに見つかる心配はないよ」
「ありがとうござい――」

 お礼を言い終わる前に、凄まじい爆発音が聞こえた。驚いて振り返ると、もくもくと立ち込める黒煙の出所は――私の部屋からだった。

「綱吉ッ!」

 屋敷に戻ろうとした私の腕を掴まれた。

「離してください! あそこには綱吉が……!」
「彼なら無事だよ」
「え……?」
「もちろん、多少の怪我はしたと思うけど」


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